銀魂

□視線
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最近毎日の様に遊ぶ神楽と尚はいつもの様にベンチで話していた。
「今日はどうしても伝えたいことがあるんだ」
途中、尚が真面目な顔で話だした。
神楽はその雰囲気呑まれ、なぜか緊張しだす。
「あのね…神楽ちゃん。僕、君のことが好きなんだ。
僕、体弱いけど、でも、神楽ちゃんと一緒にっ」
尚の神楽への告白の言葉は最後まで続かなかった。
気付けば沖田は二人の間を割くようにベンチに鞘のついたままの刀を振りおろしていたのだ。
二人は驚いた顔で沖田を見ていた。それはそうだろう。一番驚いているのは沖田自身なのだから。
「毎日毎日ランデブーって随分仲良さげじゃないですかィ」
沖田自身が意識しているわけでもないのに言葉が出る。
神楽が傘を叩きつければ、沖田は後ろに飛び避ける。
そして出来た尚と沖田の間に神楽は立つ。
「いきなり刀振り回してきたと思ったら何アルか。尚くんは大切な友達ヨ。傷付けたら許さないアル」
神楽のその言葉を皮切りに二人の戦闘が始まる。
衝突した二人は傘と刀でせめぎ合う。
「友達ねェ。さっきソイツが言ってたのは告白じゃなかったんですかィ?
今そんなこと言うとそれが返事みたいになるぜィ?」
右から上から、下から左からお互いの攻撃を避けては反撃し、を繰り返す。
「お前には関係ないことネ!」
そう言いながらより力を込められた神楽の傘を受け流す。
勢いのまま倒れてきた神楽の腕を掴む。
「関係あるんだよ!」
神楽が逃げようと腕を振るので、腕を掴んでいる手により力を込める。
爪が腕に食い込み、神楽が小さく唸る。
「俺もてめーが好きなんだよ!」
悲鳴にも似た声だった。
空白の時が幾分か流れた後、沖田は神楽の腕を離し刀を腰に掛け直す。
「もういい。帰る」
力が抜けたその背中は寂しそうだった。
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