銀魂
□視線
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ー君の視線の先には誰がいる?
いつものように仕事をサボり、沖田は昼寝スポットを求め公園に来ていた。
どこかに良いところはないかと辺りを見回す。
ふとそこに見慣れたお団子頭が視界に入る。
定春の散歩などで公園に神楽がいることは珍しくはない。
眠たさをとるか暴れたさをとるか…
沖田は話しかけるか悩んでいると、ふと、神楽の隣に人がいることに気付いた。
神楽と同じくらいの年代の男の子で、ベンチに二人腰掛け楽しそうに話している。
その様子を見て沖田はやる気を無くし、睡眠をとることにした。
神楽は万事屋ということもあってか結構顔が広く友達も多い。
たかがそのうちの1人だろうと沖田は自分に言い聞かせ、昼寝に良い場所を探し歩きだす。
次の日。
たまたま沖田は巡回中に公園を横切ることになった。
脳裏に昨日のことが思い出され、自然と辺りを見回していた。
すると昨日と同じベンチに昨日と同じように楽しそうに話している二人の姿があった。
胸に込み上げる黒い気持ち。
まだ小さなそれを胸の奥底に隠し、なかったことにしようとその場から去った。
次の次の日。
二度ある事は三度あるという。
沖田は結局気になって公園に来てしまっていた。
やはり同じベンチに腰掛けている二人。
胸の中で黒いものが大きくなるを沖田は感じ、暴れ出す前にその場から走り去る。
次の次の次の日。
悩んだ挙句沖田は公園に来てしまう。
今日も今日とて変わらぬ二人。
沖田の中は黒い気持ちに支配される反面、どこか冷静なった自分がいた。
その冷静なった自分が二人をよく見ろと促す。
見るのが嫌で目を逸らし続けていた二人を沖田はまじまじと見る。
そして神楽の頬がほんのり紅いことに気付いて、冷静な自分すらいなくなっていた。