音楽に心を込めて
□四曲
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居ない………
居ない………
居なぁい!!……
『何処行ったのさ!』
うちは息を切らしながらやつを探していた
誰を探していたかって?……皆さんのご察しの通り、神宮寺レンですよ。神宮寺財閥家の三男坊ですよ。問題児ですよ。折角パートナーになってこれからのテストの事とか、今できた曲を聞こうと思ったのに居ないと言う!
『はぁ……何でこうなんかなぁ……』
「どうしたんだよ。湿気た面して」
と前からおチビちゃんがサッカーボールを持ちながら歩いてきた
『問題児を探してんだけど……見つからない』
「あぁ……レンの事とか。レンならそこにいるけど……」
おチビちゃんは中庭に指を示した。その方向を見ると……何と問題児が女の子達に囲まれているではないかっ!!
『うわぁ……タラシだね』
「すげぇよな;入学初日でファンが出来るなんてよ;」
その風景を呆れながら話す。その気持ちは分かるなぁー……
でも此処からどうしようか……諦めたら此処でお終いだし、よし強行突破だ♪
うちは中庭で女の子達に囲まれているレンの所に行く。勿論女の子達を掻き分けながらね
「おや……何のご用だい?レディ」
レンはうちを見ながら笑顔で言う。何かムカつく
『練習ことなんだけど』
「ごめんね。俺は練習には出ないよ」
とうちの練習のお誘いを断る。何で?
『なら何で此処に入ったのさ』
「無理矢理放り込まれたのさ……兄貴にね」
無理矢理ですか……音楽好きなのに?自己紹介の時情熱的にサックス吹いてたのに?
「俺が居なくても作曲だけでも評価出来るだろ?……それに俺は他のレディ達のお相手で忙しいから練習する暇は無いよ」
練習より此処にいる女の子達が大切って事ですか。それにさっきからレンの目は冷たい……まるで俺に関わるなって感じで見てくる……でもこっちは歌って貰わないと困る……そんなに嫌ならこっちは……
『歌いたいような曲を作って練習したくなるようにしてみせる!!』
と左手を腰に当てて、右手でレンに指して宣戦布告する。勿論負ける気はしないよこっちだって命懸けなんだから!!
「良いだろう。俺が歌いたくなるような曲を作ったら、歌ってあげる」
『よしっ!!……なら決まりだね!その言葉絶対に忘れないでね!』
うちはそう言ってレンから離れて翔の所に行く。それを見送るレンは切ない顔をして見ていた
「レンー!どうしたのー?」
「いや。何でも無いよ、レディ達ニコ」