ハンター試験編

□2話:出会い
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ザバン市に着いたリリーは、ナビゲーターに試験会場を案内されていた。


ナビゲーターが立ち止まり指を指した場所は、目の前の高くて立派な建物…


ではなく、ごく普通の定食屋。


目を丸くして疑問を浮かべた表情のリリー。


店に入ると、愛想が良い店主が料理をしながらリリー達を迎えてくれた。


「いらっしぇーい!ご注文はー?」


するとナビゲーターはあっさり答える。


「ステーキ定食」


ピクッ


「焼き方は?」


「弱火でじっくり」


「あいよー、奥へ入んなー」


リリーは何が何だか分からないまま案内された奥の部屋に入る。


「君なら来年も案内してやるよ、頑張れよ。ルーキーさん」


ナビゲーターがそう言うと、自動ドアが閉まり、二人は別れた。


部屋に取り残されたリリーは、目の前の鉄板を見た。


鉄板の上で焼かれる美味しそうなステーキが5枚ほど並べられていた。


ガタン…ヒュー


部屋がエレベーターの様に下へ動き出す。


『…さっきの合言葉だったんだ。ていうかこれ、もしかして全部食べていいのかな?』


リリーは試験会場まで何も食べていなかった為、かなりの空腹状態。


リリーはひとくち口に含んだ。


『ん〜♪美味しいっ‼』


美味しさの余り手が勝手に動き…


ステーキ3枚はぺろりと食べてしまった。


『あ〜美味しかったぁ。これから試験とかなんかやる気なくなってきたなー。う〜残り2枚もったいないなぁ〜どーしよ…』


エレベーターはどんどん下に降りていき、「B100」の表示された所で止まった。


チン


『え、もう着いたの!?』


リリーは心の準備が出来ていないまま、慌てて扉の前に立つ。


扉が開くとそこは薄暗く、受験生300名以上が待機している地下道だった。


受験生達は、一斉にリリーを観察するように鋭い目付きで見つめると、ふいっと元に戻る。


ただその場で立ち尽くすリリーに、試験官が受験番号札を渡す。


番号札は303。


なんかこの空気いやだなー。


女一人だから心細いし…


目立たない場所に行こ。


リリーは地下道の隅に移動しようと受験生の人混みの中を謝りながら進む。


ドン


下ばかり見て進んでいたリリーは、頭が誰かの背中にぶつかった。


『あっ…ごめんなさい』


見上げるとオールバックに似た独特の髪型、左目には涙型、右目には星形のペイントをしたピエロのような男性だった。


「くくく…★大丈夫かい?」


男は妖しい笑みを浮かべてリリーを見下ろす。


『…はい、大丈夫です…』


「そう◆それならよかった★」


男はそう言うと密かに笑いながら歩いていった。


な…なにあの人。


ちょー怖かったんですけど〜‼


リリーは隅に着くと座り込み、誰とも目を合わさずひたすら開始時間を待った。


そろそろ開始時間が始まる頃、エレベーターの扉が開いた。


甲高い男の子の声が聞こえる…


リリーは立ち上がり人混みの間から覗いた。


すると少年と目が合う。


「あー‼あそこに女の子がいる‼」


ビクッ‼


「おっマジか!?どこだどこだ??」


釣竿を持ち、ツンツン頭の黒髪の少年が笑顔で近づいてくる。


「こんにちは!オレ、ゴン!君もハンター試験を受けに来たの?」


『え、うん!あの、私はリリー。よろしくね‼』


この子いくつかな?


私よりもちろん年下だよね?


ちょー可愛い‼


ゴンに笑顔で返事をしたリリーの元に今度は黒の背広の上下とサングラスを身に付けた体格の良い男性が話しかける。


「初めましてお嬢さん!私はレオリオと言います。いや〜こんな所であなたのようなお美しい女性に出会えるとは、感謝感激と申しますか…」


男性はリリーの手を握ってキザっぽく自己紹介をする。




そこへ…









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