ハンター試験編
□1話:出発の日
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青空の下、村の草原で少女と少年が遊んでいた。
『ねーねー!大きくなったら何になりたい??』
「そうだな…リリーは何になりたい?」
『リリーはねーお嫁さんになりたい!大きくなったらリリーをお嫁さんにしてくれる?』
「お…お嫁って!リリーはお嫁さんの意味を分かっているのか?」
『うん!知ってるよ♪パパとママみたいになるんでしょ?』
少女、リリーは満面の笑みで答える。
「そうだが…まだ早くないか?」
『いいの〜っ!ねーゆびきりげんまんしよ‼』
リリーは元気よく少年に右手の小指を差し出す。
少年は恥ずかしそうにリリーから眼を逸らした。
リリーは寂しそうに見つめる。
『リリーじゃ嫌なの?』
「そんなっ、い…嫌なわけないだろ」
『よかった!じゃあ約束ねっ♪』
少年は照れくさそうに左手の小指をリリー のと絡めた。
『「ゆーびきりげんまん♪嘘ついたら―――…
鳥のさえずりが聞こえる。
目を覚ますといつもの天井が見えた。
『またあの夢…』
最近よく同じ夢を見るようになった。
5年前の記憶は何故か全く覚えていない。
それなのに、子どもの頃の自分が出てきて、いつも男の子と遊んでる。
けれど、目を覚ますと男の子の顔がどうしても思い出せない。
リリーは近くの時計の針を見て、慌ててベッドから降りた。
『やばっ今日出発する日だった‼』
リリーは急いで仕度をする。
コンコン
「リリー、準備は出来たか? 」
『師匠ごめん!ちょっと待ってて‼』
20分後…リリーは仕度が終わると荷物を持ちドアを開けた。
今日は雲一つもない快晴。
リリーは眩しそうに空を見上げる。
わたしはこれからハンター試験を受けに行く。
ハンターになる理由…
それは、失った記憶を取り戻すため。
わたしは5年前、突然記憶を失った。
なぜ失ったのか…その原因も分からない。
でもわたしにとってその記憶は、とても大切で忘れてはいけない…そんな気がする。
記憶を失ってからの5年間の間、辛くて苦しいことばかりだった。
わたしの家族は盗賊。
盗賊の名前は知らなかったけど、活動は主に窃盗や殺しをしてて、簡単に人を殺せる兄と姉がとても許せなかった。
今から2年前…
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