第2章

□クラピカside
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クラピカside








今日は学園祭だった。


朝からリンはテンションが高く、なんだか微笑ましかった。


私は女装をしたり、ホストをしたり、フルで動いたからか、かなり疲れた。


しかも皆揃って「フランス人形」と連呼……。


確かに私の瞳は青く、髪は金髪だが…余り褒め言葉には聞こえなかった。


私はミスターコンとかいうのに勝手に参加させられてしまった。


白スーツなんて着たのは初めてだ。


特技は落語。


趣味で続けていただけだったが、何故か周りからの評判は良かった。


気が付けば、ミスターハンターになっていた。


隣では笑顔のリン。


純白のドレスを身に纏い、皆に笑いかけるその姿は、誰よりも綺麗で、輝いていた。


最後に生徒会がリンを巻き込んで、イベントを開いた。


毎回リンに突っ掛かって迷惑な奴らだ。


ヒソカの奴…絶対リンに気があるとしか思えなかった。


アクセ探しでリンのキスか……。


怖いほどに皆一生懸命に探した。


探し終わった後、リンは壇上へ上がり、首元に光るネックレスを見せた。


会長が哀願したせいで、リンは両隣にいた奴らの頬にキスをすることになった。


チクッ


胸が痛い……。


モヤモヤする……。


見ていられず、私は眼を逸らした。


そのまま閉会式が始まり、解散した。





教室を片付けていたら、いつの間にか外は暗くなり、三日月が校舎を照らしていた。


ススキがさわさわと夜風で揺れている。


帰り道、皆と別れリンと2人きり。


なんだかそれも慣れてしまった。


兄妹という近いようで、遠い、それがなんだかもどかしい。


月が私達について来ながら家に着くまで、私達に帰り道を照らしてくれていた。


ガチャ


『「ただいま」〜』


ダダダダダダダダダ


「おかえり!!」


ムギュッ


足音と共に現れたのはもちろん兄貴。


そのままリンに抱き着く姿も、もう見慣れてしまった。


慣れとは怖いものだ。


だが、いつまでもくっついている兄貴が嫌で、リンから引きはがした。


クロロ「なんだクラピカ、ふて腐れて。…もしかして抱き着いて欲しかったのか?気づかなくて悪かったな」


クロロ兄は、勝手に解釈し、私に抱き着いてきた。


ク「ち、違う…!」


私はそっぽを向きながら皆に聞こえない程度に、溜め息をついた。


クロロ「あぁ、そういえば、今日体育館の壇上でキスしてたな?」


『あ〜そういえば……』


何故思い出させるんだ…


見たくもない光景を見てしまったのに。


クロロ「なら消毒だな」


チュッ


え…………。


私の見間違いか?


何故リンにキスしている…?


『もぅッ、キスするなら玄関じゃなくて、せめて家ん中入ってからにしてよ』


クロロ「すまんすまん」


何だそれは…兄妹の中では当たり前の事なのか?


理解できない。


私は自分が口を開け、アホ面でリン達を見ていた事には気付かなかった。


『クラピカ、早く中入ろ?』


ク「…あ…あぁ…」


私は曖昧に答え、靴を脱ぎ、リンに促されるまま階段を上り、自室に入った。


鞄を下ろし、部屋着に着替え、リビングに行き、夕飯を済ませた。


リンがお風呂から上がったのを確認してから、シャワーを浴びに行った。


湯舟に浸かりながら、リンと兄貴のキスを思い返した。


胸がチクチクする……。


リンの唇が、あんなにツヤツヤしているのは兄貴とキスしているからなのか?


胸が苦しい……。


「くそッ……」


はぁ……


兄貴に嫉妬するとは情けない…。


お風呂から上がり、身体を拭き、軽く髪をタオルで拭いてからパジャマに着替えた。


気が付けば私は、リンの部屋へ足を運んでいた。


コンコン


『はい?』


「私だ」


私は短く答え、返答を待った。


『クラピカ?』


「あぁ」


『どうぞ〜』


ガチャッ


私はドアを開けると、そのままリンのベッドに腰掛けた。


まだ拭き足りなかったのかポタポタと雫が髪の先端から落ちる。


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