クラピカ

□バレンタイン〜クラピカside〜
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2月14日、バレンタイン。


その響きに私は、にやけそうになる。


何故かと言えば、今年も確実に名無しさんから貰えるに決まっているからだ。


だから、朝から…


「おはよう、名無しさん!昨日はよく眠れたか?」


いつもよりもテンション高めの私。


『え、うん!眠れたよ!クラピカもよく眠れた?』


「あぁ、よく眠れたぞ」


『そっか!』


…そうだった。


名無しさんは細かいことは余り気にしない性格だったな。


だから、私がテンション高いのも気にしていないのだろう。


まぁいいだろう。


一日は長いからな。


『あ、そうだクラピカ。私今日早く行かなきゃいけないから、先行くね!』


そう言って笑う名無しさん。


朝から、そんな可愛い顔を見せるな。


そう思いながらも…


「そうか、分かった」


全く顔には出さない。


『じゃ、バイバーイ!』


そう言って去って行く名無しさんの右手には紙袋が握られている。


これは…期待していいやつだな?


…柄にもなく、ニヤケが止まらない。


などと、朝は呑気に思っていた。








学校に着くと、やはりバレンタイン一色だった。


男女ともにそわそわしている。


下駄箱を開けると。


バラバラバラ…


ぎっしり詰められたチョコレートの箱が地面に落ちる。


…そうだ、忘れていた。


毎年、見知らぬ人のチョコが下駄箱に詰められていたことを。


こんな大量に…


本当に、迷惑極まりない。


私には最愛の彼女がいる。


名無しさんに誤解されてしまうではないか。


「よ、クラピカ!相変わらずモテる男は大変だなァ!!」


後ろからレオリオが現れ、朝から超ご機嫌で既にニヤケている。


「朝ぱらから、そのニヤケ顔をどうにかしろ」


「見ろよ、これ!!彼女の手作りチョコ!!朝、照れながら渡してくれてよ〜本当もう可愛過ぎだな、俺の天使だな!!それでさっき…」


…遠慮なくのろけまくるレオリオ。


それは私もだから仕方がない。


だがここまで長いと、いい加減…


「くどい」


そう言ってしまう。


「なんだァ〜クラピカー。冷てーなァ!あ、もしかしてまだ名無しさんから貰ってねーのか!?」


くそ!


ニヤニヤしながら言うな。


「別に。悪いか?」


悔しくて気にしていないような態度をとる。


「いや、別に悪くねーけど…あれ見ろよ?」


とレオリオの視線の先には、私と同じ学年の男子がおり…


「まさか…」


その男にチョコを渡している。


何故私以外にチョコをあげている!


…何?


隣の男にもあげている…。


何なのだ!あの無自覚馬鹿!


「おい、クラピカ…いいのかよ?」


「言い訳ないだろう」


そう言って名無しさんのところへ向かう。


しかし…


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