第1章
□お引越し
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突然クラピカが失笑噴飯し、お腹を抱え笑いだした。
ク「お前の百面相、面白過ぎだッ。あはははッッ」
『え?あたしの顔そんなに面白い?』
ク「面白いっ」
『もー、酷いよー』
頬を膨らませ、口を尖んがらせてると
ぷにっ
『ぶッ!?』
クラピカが私の頬っぺを突いたせいで、口の中の空気が一気に漏れ、変な声が出てしまった。
ク「ぷぷッッ」
『もーッッあたしで遊ばないでーッッ!!』
ク「あははッッ」
クラピカは目に涙を浮かばせ、堪えきれないとばかりに笑った。
『クラピカの笑った顔初めて見た…。』
リンは呆然とクラピカの顔を見た。
ク「そうか?」
『いつもは王子様って感じだけど、今は幼い少年って感じ』
ク「それは褒めてるのか?」
頭に?を浮かべているクラピカ。
『褒めてるよ。クラピカは笑っている方が自然だよ』
ク「そうか…」
初めてクラピカの自然な笑顔を見て、今まで近寄り難い印象が崩れ、一人の無邪気な少年のように柔らかい表情になった。
2人で並んで歩いていく。夕陽が私達を照らし、影が長く伸びていた。
――――…
――――――…
私は帰ってすぐにパイ生地の下準備を済ませ、寝かせている間にりんごを煮詰めた。
トントントン♪
ジュ―♪
キッチンにリズミカルな音が響く。
メイン料理や前菜などもあっという間に作り終わった。
寝かしたパイ生地を綺麗に型にはめ、林檎を詰め、余熱したオーブンに入れた。
みんなをリビングに呼び、ご飯が出来たと言う。
机にはメインのハンバーグにルッコラのサラダ、マリネ、コンソメスープ、ご飯が並べられていた。
『今日は引っ越し祝いって事で私が作ったよ』
満面の笑みで笑いかけたらお兄ちゃんに抱きしめられた。
ギュッ
『ぐはッッ』
クロロ「リン、大好きだぁ〜」
相変わらずタックルのようにハグしてくる兄。
『もぅっリニアさんも、クラピカもいるんだから』
リンはぷくぅと頬を膨らまし、兄を睨んだ。
リ「リンちゃん。もう家族なんだから、“パパ”って呼んでほしいな〜♪」
『パパ…』
リ「うん」
なんだか小恥ずかしい……。
ミト「クラピカくんも、“ママ”って呼んで♪」
ク「ママは流石に…。“母さん”と呼ぶ」
ミト「分かったわっ、息子がまた増えて嬉しいわ〜♪」
なんか家族って感じで嬉しいな♪
『今日はね、みんなが好きなハンバーグにデザートはアップルパイを作ったの!!』
アップルパイはリニアパパが好きだってママから聞いてたから♪
父「リンぢゃーんッ」
ガバッ
パパは涙と鼻水を流しながら私に抱き着いてきた。
『みんなお゙ーも゙ーい゙ぃーッッ』
渋々皆離れ、やっと席に着いた。
父「それでは、いただきます♪」
「「「「「いただきます。」」」」」
クロロ「流石リンだな」
父「リンちゃん、凄く美味しいよぉ〜」
ミト「リン、腕上げたわねぇ♪」
えへへ♪なんか嬉しいなぁ♡
褒められると図に乗っちゃうよ?
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