第1章
□お引越し
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『どうかなぁ?』
黙々と食べているクラピカに聞いてみた。
ク「あぁ、意外と美味いな」
相変わらずクールだけど、“美味しい”って言われると嬉しいなぁ〜。
何故かクラピカが言うと特別に感じて、顔がニヤける。
ク「顔がキモイぞ」
と思ったらすぐ減らず口。
全く、これが無ければ完璧なんだけどなぁー。
ご飯を食べ終わった頃、丁度アップルパイが焼き上がり、みんなの分を切り分けたら、早速みんな食べ始めた。
ボソッ…
ク「うまい…」
クラピカが小さな声でポツリと呟いた。
ミト「リンちゃんの作るアップルパイは本当に美味しいわよね〜♡」
ク「何故だ…?」
『何が?』
クラピカはフォークを置き、眉間に皺を寄せた。
ク「昔母さんに作ってもらった味と似ている…」
クラピカが昔食べたアップルパイと味が似ているの?
ミト「それはきっと愛情が篭ってるからね」
ママは優しい笑顔でクラピカに言った。
『私はいつも食べてもらう人の事を考えながら作るよ』
ク「そうか…」
そう言って優しく微笑み、完食した。
ク「また今度作ってほしい」
と照れながら部屋に戻っていった。
クロロ「あいつも可愛い所あるんだな」
うん。あんな優しい顔も出来るんじゃない…。
無表情でいるよりずっと良いよ。いつも笑っていれば良いのに…。
クラピカは他人と壁を作っている気がする。
まだ私達にも心を開いてない。
クラピカの事が知りたい。
だって私の家族でお兄ちゃんだもん。
少しずつでいい。
クラピカの凍った心を、私が溶かしてあげたい。
少しずつ
焦らずに少しずつ…
そう思った。
next…