短編集

□幸せの数字
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最近13の様子が変…と周りから言われた
確かに少しみんなとの間に壁を
作っている感じがする
少し話でも聞いてみるかと13を誘うことにした

「13ちょっといい?」

「お?どうしたぁ衣玖」

せっかくだから外の日当たりの良いベンチへと移動する

「いやー日当たりが良くて眠くなるわ〜」

「だなー…衣玖、膝貸せ」

言われた通りに膝を貸すと
ゴロンと寝っ転がる13

「で、なんか用か?昼寝しに来たわけじゃねぇんだろ?」

「最近…なんかあった?」

返答がなく暫く沈黙が続く
その間に何となく13の髪を掬い遊ぶ

「なぁ、お前は俺のこと…嫌いか?」

13が蔑むように笑みを浮かべた
思い込めているその表情が、声色が儚く消え入りそうだと感じた

「馬鹿だなぁ」

「あ"ぁ"?」

「好きだよ、ずっと」

13の目が見開き少し硬直したのがわかる

「もし、数字のこと気にしてるならいいこと教えてあげるよ。私の名前って衣玖で19なの
19と13(サーティーン)の13足したら32でしょ?32って五大吉数なんだって…私達、お似合いだと思わない?」

「ハッ…そうかもな」

そう言って起き上がった13の表情は
どこか清々しかった

「さっ、帰っ」

「お似合いなんだろ?ハニー?」

「帰ろう」と続くはずだったセリフは
マスク越しの感触によって遮られ
ニヤリと笑みを浮かべた13は「遅いと置いてっちゃうぞ〜」と言いながらさっさと歩き出していた

「馬鹿!やっぱり嫌い!」

恥ずかしさで叫びなりながらも
13の後を追いかけた

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