二次創作『銀魂』長編

□異名狩―漆―
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「へぇ、だから『片割れ』か・・・お前らもいろいろあったんだな。」

 銀時はいつになく真剣な面持ちでそう呟いた。

「俺は、まぁ、お前らも知っての通り『白夜叉』っつう異名を持っててな。俺の昔の話なんかは前調書取られた時に知られてるだろうし、俺からはあの男について話をするよ。」


銀時の声に、俯いていた山崎と沖田が顔を上げる。


「旦那、アレが誰か分かるんですかィ?」

「俺が三日調べても分からなかったのに。」

「まぁ、俺が調べたっていうか、そういうのが上手いロンゲと白い化け物に情報を貰ったんだけど・・・その前に、一ついいか?」

 銀時は言葉を区切って二人を方を見つめた。沖田と山崎は怪訝そうに顔を見合わせている。


「お前ら、近藤や土方に話すつもりはねぇのか?はっきり言ってアイツは強い。真撰組が使えるなら使った方がいいと思うんだが・・・」


「それはダメでさァ。」

「僕も、それには賛成できません。」

「いろいろ深い理由があるんだ。彼奴らなら、話を聞いたってお前らの事捨てたりはしないと思うけどな。」

「確かにそうかもしれやせん。でも、言いたくない理由は他にもあるんでさァ」

「そうです。俺も沖田隊長も、あの男が規格外に強いってことは分かってます。でも、だからこそ副長達を巻き込むわけにはいかない。副長や局長にとって、アイツは戦いにくい相手でしょう。力はさておき、相性としては俺や隊長、旦那の方がいい。俺たちのせいで、隊の皆に怪我をさせたくないんです。」

「そうか・・・分かったよ。」


 山崎の言葉に沖田もうなずく。銀時はそれに小さく返した。


「アイツは、睦月っていう天人らしい。絶滅どころか殆ど数がいない種族だから、種名はないらしい。何でも不思議な一族でな、彼奴ら自身の力は人間とそう変わらねぇが、特殊な性質があって、他の生物に吸血する事でその生命体の強さを奪う事が出来るらしい。吸血する時に体内に入る唾液成分が特に人間には強い睡眠薬になるんだと。百年前には三大傭兵部族の血を飲んだ奴が星を五つ滅ぼしたらしい。睦月っつう奴はどうも攘夷戦争で名を上げた人間に吸血する事で力をつけようと考えているらしい。地球みたいな辺境の星には情報もきてねぇが、宇宙じゃぁ国際指名手配されてるらしいぞ。」
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