天飯小説
□約束したじゃん 1
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悟天は、頭がどちらかと言うと悪かった。
早い話がバカだった。
しかし、それ以上にブラコンで兄の悟飯の事が好きだった。
なので、
『兄ちゃん、兄ちゃん。
僕、大きくなったら、兄ちゃんの事僕のお嫁さんにしてあげるね』
と、満面の笑顔を浮かべて言う。
悟天のその言葉に悟飯は、
バカだなあ、悟天
と、思いながらも悟天のことを可愛い弟だと思う。
何より、悟天はまだ小さいから、たいして意味もわからず言っているのだろうと、
『ああ。悟天が大きくなったら、兄ちゃんをお前のお嫁さんにしてくれよ』
と、とりあえず適当にあしらうように返事をする。
しかし、悟天は本気だった。
なので
『うん。約束だよ、兄ちゃん』
『ああ』
『絶対、絶対約束だよ』
『ああ』
『だから、指切りしよう』
悟天はそう言って悟飯に小指を、さしだす。
『わかった』
悟飯もそう言って小指を差し出し、悟天と指切りをする。
しかし、指切りしながら、そのうちこんな他愛のない幼い日の約束は、忘れるんだろうなと悟飯は思った。
が、悟天は案外この日の約束をしぶとく覚えていた。