水中の廃人

□水中の少女
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「この少女がスタンド使いなのか?」
不思議そうな顔をして、そう問いたのは暗殺チームのリーダー、リゾット・ネエロだった。彼は名無しさんのあまりの幼さに驚いたのだった。だが、幼いといってもさほど幼くはなかったが、恐らく彼が普通の男性より大きかったためそう見えたのだろう。
「えぇその通りです。彼女がスタンド使いです」
組織の男が名無しさんを指差して、誇らしげに紹介する。彼女は、その男が誇ることではないのにと、少し不満に思った。
「では、引き取らさせてもらう」
リゾットは、名無しさんの腕を引き、さっさと組織のアジトを出て行ってしまった。男は既にいなくなっていた。リゾットは言った。
「これから、俺たち、暗殺チームのアジトへ向かう。行くところがないのであれば、住み込みも許可しよう」
「えぇ、そうさせてもらう」

会話を終了してから、10分ほど経った。今だ特別な交通手段をとっていないリゾットに多少の不服を持ったのか、名無しさんが訪ねる。
「こんなに余裕こいて歩いていたら、アジトが嗅ぎつけられるよ」
「それなら心配ない」
そうリゾットが言った途端、建物にかけられていた鏡から、手が伸びてくる。名無しさんはさっと身を引っ込めて、警戒態勢をとった。
その鏡から出た手は、完全に姿を現して、リゾットに鏡に入るように指示した。
「誰?」
「暗殺チームのイルーゾォだ。とにかく入れ」
イルーゾォと名乗った男は、鏡を親指で指差して、入れと指示した。
名無しさんは、静かに鏡に入って行った。
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