水中の廃人

□水中の廃人プロローグ
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「では、これで」
ある男がもう一人の男に言う。その男の向かいの水槽は、コポコポと波打っている。
透き通った青色が綺麗に光っている。水槽にぬうっと黒いヒレがよぎった。
「管理は現状維持でお願いします」
先ほど話した男が続けて言う。

「ほう。これが噂のスタンド使いか」
一人の男が帰った後、もう一人の男が嬉々とした様子で水槽を眺めている。
「こりゃあまるで、化け物だ」
けたけたと笑いながら、水槽を突き中のものを挑発する。中のものは、挑発にも一切乗らず悠々と泳いでいる。
それも楽しそうな様子ではなく、いつ抜け出してやろうか、という様子だった。その目は輝いている。

「お前に引き取り手が現れたんだよ。良かったな。念願の陸上だぞ?
まぁ、ギャングだがな。
はははっ、裏の世界だ」
男は再び、嬉々とした様子で笑い出した。
水中のものは、ジッと男を見つめていた。
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