短編集

□価値観
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メローネは、名無しさんの家の前にすっくりと佇んでいた。
あの後、いいよと返事を貰ったメローネはさっそく、会ってくれと頼んだのだった。
「あぁ。メローネ、入って。」
ドアの奥から、名無しさんの声が響いてくる。メローネにとってそれは、心地よいことだった。

「もしかしたら、また価値観が交差しないかもしれない。」
メローネは、部屋に入るなりいきなりカミングアウトした。すると、名無しさんはそんなことは物ともせずにこう言う。
「いいのいいの。少し付き合えるだけでも幸せ。」
メローネは、うんうん唸っていた頭を勢い良く上げ、名無しさんに飛びつく。
「俺に足りなかったのはこれかもしれない。」
などと言いながら。
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