お題からの夢小説

□純粋ごっこに飽きただけだよ
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言葉の純粋さと反比例するように君は

「白澤様」
「ん、なぁに?」
「好きです」
「そっか、ありがとう」
僕の目の前にいる貴方はそう呟くと、にへっと笑う。
僕が思うに貴方の好きは、きっと男女としての好きとは違うもので、きっと同性同士で言うような好きなんだろうなと思う。
僕は、貴方をこんなに好きなのに。

君は、純粋で僕は不純、だからこの想いの結末は見え透いていて、もしも君が僕を好きだったとしても、君は僕の所為で傷つく。
そんなことは、僕が許せない。

そんなに僕が君に思いを馳せているとは知らずに、君は僕が出したお茶をすすっている。
そして、おいしいと呟くんだ。
そんな間にも、僕は君をとって食いたい気分で、それでも僕は君を傷つけないことに必死だから手は出さない。

「白澤様」
「ん?」
「好きです」
「ふふ……そっかぁ」
僕は頬杖をついて、お茶をすする。そして、時折貴方の頭を撫ぜる。
その行為にも、貴方は目を細めて、気持ち良さげに笑う。

「今日は、お客さんも来ないし店閉めるね」
「え?私お客さんだよ?
もうちょっと居たいなぁ」
僕は君にめっぽう弱いんだよ、そう自分に言い聞かせながら、わかったよと言う。
僕はちょっと貴方に甘いな。あの鬼灯に呆れられる程には、甘いな。

抱きしめるくらいならいいよね、そう思っておもいっきり抱きしめる。
そうしたらどうだ。貴方が僕の背中を優しく抱き返してきた。僕はあまりのことにびっくりして、すぐさま離す。
「あっ、ごめん。びっくりして……」
「うん。大丈夫、かっ帰るね」
そう言って貴方は、いそいそと店を出て行く。

貴方、君は言葉の純粋さとは違って、行動の一つ一つが小悪魔みたいで、僕は君をいっそう好きになってしまう。
僕は君に溺れて行く、それを駄目だと知っていても。
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