水中の廃人

□船上で音を奏でて
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「さぁ作戦会議といこうぜ」
「了解」
プロシュートの一言で、四人全員が仕事体制に入る。
先ほどリゾットから、暗殺対象は、この豪華客船クルージングの主催者だということが分かった。
俗に言う裕福な者のようで、その権力や名声をパッショーネの管轄内で、乱用しているとのことだった。
そのせいか、ある人物に恨まれて暗殺対象になったということだった。

この豪華客船の旅は、予定では五日間で、ここの港から出発して、五日後に帰ってくる。
しかし、行く先は主催者と一部の人しか知らないようだった。
そのことで、一日目や、二日目に殺ってしまうと、乗客全員が怪しまれる上に帰る手段を失う可能性も否めないということである。
あくまで、プロシュートらは暗殺チームであり、相手は暗殺対象なのである。

「まぁ、そういうことで、作戦をかなり練らなくてはいけないんだ」
「それならば、気づかれることも考えて、帰還の三十分前が限界ね」
プロシュートに対する名無しさんの言い分は最もであった。
そう、この男は、あくまでパッショーネの管轄内で悪意を持って、行動を起こしている。
つまり、このクルージングの行動範囲も例外ではなく、パッショーネの管轄内であった。
そのため、見つかったのが船を完全に降りてしまった後だと、パッショーネの権力により暗殺チームのメンバーが乗ったという記録は揉み消すことが可能だった。
そのため、気づかれる前に船を下船できる時間の範囲での暗殺タイミングでなければいけないのだ。

「そうだな、ごもっともだ。だから、最初の二日間は、対象の行動パターンを読むことを提案する」
「あぁ、分かったイルーゾォ。メローネは、一日母体探しにあてろ」
「分かった」
「後のことは、また二日目の夜に決めておく」

そこで、客船に出発まであと三十分の合図のベルが鳴り響いた。
四人は、ホールと言われている全員が飲んだり食べたり、歌ったり踊ったりとパーティを楽しむ場所へ集まった。
まずは、暗殺対象を確認しなければならなかった。
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