水中の廃人

□その手の意味と
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リゾットとプロシュートがお互いの意見を言い合ってから、少し経った。
リゾットとプロシュート、イルーゾォとは、それなりに打ち解けたものの名無しさんは、合いも変わらずに無表情だ。
それもそのはずで、三人は他のメンバーを探しに出て行ったので、名無しさんは一人ポツンと椅子に座って、待っていたのだ。
名無しさんは、することもなく、かといって、このまま何もしないのも落ち着きが無かった。リゾットに、暇つぶしにと渡された暗殺チームの資料も、今知ると楽しみが無くなると、名無しさんは、目を通していなかった。

そして、リゾットに聞いたことがもう一つあった。
それは、このアジトの用途についてだった。このアジトは、基本住み込みは許可しておらず、皆個々のアパートやら物件があると名無しさんは、聞いた。しかし、アジトの見張りも兼ねて、一日交代で、誰か一人アジトに泊まることも聞いた。
だが、名無しさんはリゾットに特別に住み込みの許可を貰ったのだ。

名無しさんは、暇つぶしに自室へ足を運んでみた。
彼女の自室は、どこかこじんまりしていたが充分に住めそうで、家具もそこそこ置けるぐらいの広さだった。
名無しさんは、さっそく家具の置き方を考えだしたが、玄関の開く音が聞こえたので、皆が帰ったのだと、玄関に向かう。

「ただいま」
「他のメンバーは、いた?」
「あぁ、すぐに紹介する。入れ」
そのリゾットの言葉を引き金にどんどんと名無しさんの見知らぬ男たちが入ってくる。

「紹介しよう。右から、イルーゾォ、プロシュート、ホルマジオにメローネそれに、ソルベとジェラートだ」
名無しさんは、やはり、メンバーが少ないなと思ったものの、それをグッと飲み込み、言う。
「私は、名無しさんと言います」
すると、紹介された男たちがくすくす笑いながら、みんなで何やら話し始める。

「なっ、なんですか」
「いや。そんな硬くなるなよ」
「そうそう。今日から仲間なんだろ?」
名無しさんの問いかけに、メローネとホルマジオと呼ばれた男が言う。彼らは、名無しさんのあまりの硬さに呆れてしまったのだった。
だがしかし、誰だって自分より大きい人に囲まれると縮こまってしまうもので、名無しさんは今だ慣れずにいる。
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