水中の廃人

□水中の少女
1ページ/2ページ

水中の少女の名前は、名無しさん。いわゆるスタンド使いというやつだ。
その少女は、生まれながらその才能を持ち、みんなに気味悪がられながら生きてきた。
全てにおいて、遠ざけられ、近づこうとするものは、いなかった。乞食のような暮らしを強いられていたこともあった。そんな中で、彼女を保護したのが人身売買の男たちだったのだ。

そして、彼女は今日ここで引き取られた。
このイタリアのギャング、パッショーネの暗殺チームによって。彼女はそのスタンドを買われたのだった。
まだ、メンバーも少なかったため彼女を取り入れようと試みたのだ。
だが、彼女はそんなことはどうでもよかった。外に出れれば、それでよかったのだ。

彼女を取り入れようとしたところはどこもなかった。そのスタンド能力で、普通の企業や組織には認められず、多少の裏企業も彼女を恐れて、認めなかった。
つまり、みんな彼女を恐れていたのだった。また彼女も人を認めなかったのだ。

暗殺チームのリーダーが迎えに来る時間まで、刻々と時は過ぎて行った。名無しさんは、もうすでに出て行く準備を済ませ、素朴な自室で待機している。組織の男から声がかかるまで、外に出られないのだ。
名無しさんが読みかけの本をそろそろ読み終える頃、男から声がかかった。出てこいの合図だった。
彼女は、軽く最後に荷物を見直すと微かだが、目を輝かせて扉を開ける。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ