短編集

□人間とは・・・・?
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「ねぇ花京院、シェイクスピアって知ってる?」
「え?うん。まぁ」
私は、特にこれと言ってすることも無かったため、旅の途中、隣にいた花京院に夜中に聞いた。
花京院も、これと言って気に留めてもいなかったようで、曖昧に答えた。

「シェイクスピアが好きでね。」
「へぇ、名無しさんはそんなのが好きなの。」
花京院は、特に興味も湧かなかったようで、愛想なく答える。
花京院は、耳にぶら下がっているサクランボモチーフのピアスをクリクリと弄りながら、夜中の満天の星空を見上げている。
「今日は、月が強く光っていて、星があんまり、見えないや。」
「そうだね。月も綺麗なんだけどなぁ。」
どうにもこうにも星よりは、好きになれない。
私は、何十年とかけて、私たちの元に光を送る星が好きだ。勿論、月だって、太陽の光を沢山吸収して、強く光っていて、綺麗だけど、儚く輝く星よりは、好きになれない。

「僕も、星の方が好きだな。」
「知ってる?今地球から見て、輝いてる星には、もう無くなってる星もあるんだよ。」
「あぁ聞いたことあるよ。アンタレスとか。」
「蠍座の象徴なのにね。」
こんな他愛もない話に大きく、花を咲かせているが、本当は、2人とも落ち着いてないのかな。なんて。
花京院はともかく、私は全然落ちつきそうもない。

「明日には、もうエジプトに着くよ。」
「そうだね。名無しさんは、やり残したことは無いのかい?」
「特に、あぁでも、もし誰も死ななかったら、帰りもみんなでゆっくり来た道を帰りたい。」
「もぉ、そんな不吉なこと言わない。」
「ははっ、お休み花京院。」
「お休み。」
私は、静かに寝床についた。

花京院はあんなことを言ったけど、私は、みんなともう一度ワイワイと帰りたい。
フラフラとはっきり行く当てもなく、笑ながら、セスナとか墜落させちゃって、思い出すだけで、笑みが零れるような、そんな旅を。
この旅の延長線上、この旅の続き、外伝。

この時の私は、まだ知らない。
あの花京院が延長線上にさえも乗ることができないことを。


What a piece of work is a man!
人間とはなんという傑作だろう!
「ハムレット」二幕二場より。
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