Girlish Maiden
□XVII
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数分経った頃、ムーディの姿をした男の顔は変わり始めていた。
傷痕が全て消え、削がれた鼻がまともになり、髪は薄茶色になった。義足と義眼が外れ、通常の足と目が現れた。
飛鳥は息を呑んでその男を見た。
廊下からスネイプが屋敷しもべ妖精を従えて戻ってきた、後ろにはマクゴナガルもいる。
「クラウチ!──バーティ・クラウチ!」
「なんてことでしょう……」
屋敷しもべ妖精が飛び出し、男に駆け寄った。
「バーティさま。バーティさま。こんなところでなにを?」
クラウチ家に仕えていたウィンキーだ。
今はホグワーツの厨房で働いている。
「あなたたちはこの人を殺されました!この人を殺されました!ご主人様の坊っちゃまを!」
「失神術にかかっておるだけじゃ、ウィンキー。どいておくれ。セブルス、薬は持っておるか?」
スネイプがダンブルドアに透明な液体の入ったガラス瓶を渡した。ベリタセラム──真実薬だ。
ダンブルドアはそれを持って立ち上がり、今度は飛鳥の方を振り返った。
「アスカ、ディゴリー夫妻のところへ。説明が必要じゃろう。君の指示通り、医務室にいるはずじゃ」
「はい」
「今回の件、かなり負担をかけたようじゃな。説明が終わった後は君も医務室で休むとよい」
「……至らぬ点が多々ありました。お言葉に甘えます」
ダンブルドアに頭を下げ、飛鳥も立ち上がった。
そしてハリーを安心させるように微笑みかけ、ムーディの研究室を出た。
廊下を抜け、階段を下りる。二階に行くと医務室の前にハッフルパフの寮監であるスプラウト教授が飛鳥を待っていた。
「ああ、アスカ。中でディゴリー夫妻が待っていますよ」
「はい」
スプラウト教授は悲しいような嬉しいような、自分でもよく分からないと言いたげな表情をしていた。
その前を通り過ぎ、飛鳥は医務室のドアを開けた。
「きみは……」
音に振り返ったディゴリー氏が、飛鳥の姿に目を丸くした。
彼の横には夫人がいた。彼らの前のベッドには、セドリックが目を閉じて横たわっている。
「説明します。息子さんの身体の状態について」
病症を告げる医者のようだ。
飛鳥は軋む体を無視して椅子に腰掛けた。