Girlish Maiden

□XVI
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2月24日に第二の課題が終わり、ホグワーツの城内はしばらく課題の話題でいっぱいになった。

だが日が経つごとにその勢いは収束し、5月に入る頃には選手以外の生徒は試験勉強に追われることになった。
代表選手は課題に専念できるよう、期末試験を免除されていた。というのも、第三の課題が開催される日が試験の最終日だからだった。

目まぐるしく一ヶ月が過ぎ、あっという間に試験が始まった。

6月24日──第三の課題の日。

全ての試験が終わり、大広間では晩餐会が始まっていた。
ハリーの観戦に来たウィーズリー夫人とビルを加え、食事はいつもより賑やかなものになった。
教職員テーブルには、ルード・バグマンと魔法大臣コーネリウス・ファッジがいた。
審査員の一人であるクラウチ氏が消息不明になっていることが発覚し、第二の課題でその代理として来ていたパーシーが責任を問われて審査員から外されたのだ。
厳しい表情で黙っているファッジを横目に捉え、飛鳥はいつもより多い品数に視線を向けた。

「……トップが来るとは、何かあったわね」
「何か?」
「大臣が来なければならないほどの何かよ」

ビルと小声で話しながら、飛鳥は眉を寄せた。
朝から、悪寒が酷かった。
なにかの予兆を告げているような寒気が止まらず、気分は最悪だ。
食事もあまり喉を通らなかった。

「アスカ、本当に大丈夫かい?」
「平気よ。問題ないわ」

顔色を心配するビルにそう答え、飛鳥は席を立った。

「ハリー」

飛鳥はローブの袖から取り出したものをハリーに差し出した。
怪訝な顔をする少年の掌にそれを起き、にっこり笑う。

「お守り。セドリックにも渡しておいて」
「ありがとう、アスカ。分かった」
「それじゃ、頑張ってね。悪いけど私は医務室に行くわ……」

申し訳なさそうに言うと、ハリーは首を振って「お大事に」と飛鳥を気遣った。
付き添おうかという数人の申し出を断り、飛鳥は一人玄関ホールへ出ていったのだった。

「……嫌な日ね」

呟き、飛鳥は医務室のある方向とは逆──つまりは外の方へと爪先を向けた。
腕をさすり、飛鳥は夕焼け空の下を歩き始めた。
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