Girlish Maiden

□XI
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「あなたは立候補するの、アンジェリーナ?」

ベッドに潜り込みながら、飛鳥は隣に向かって尋ねた。
クィディッチチームに属し、勇猛果敢に戦う友人のことだ。誕生日は十月にある。資格は十分だ。

「うん、そのつもり」

白い歯を見せ、アンジェリーナは笑って答えた。
彼女ならば審査員も選ぶのではないだろうか。飛鳥は世辞抜きでそう思った。

「選ばれるといいわね。アンジェリーナだったら、寮を上げてみんな応援するわよ」
「ありがとう、アスカ。来月が楽しみで仕方ないわ!」

アンジェリーナは少し興奮気味に言ったが、列車の長旅疲れもあってかすぐに眠りについた。
飛鳥もしばらく横になって考え事をしていたが睡魔に誘い込まれて目を閉じた。
外から聞こえてくる嵐の音が未来を表しているようだった。

翌朝、大広間の天井は曇り空だった。
嵐はもういなくなっていたが、低気圧はまだ居座っていた。
飛鳥はアンジェリーナと並んで座り、新しい時間割を見ていた。

「さっそくあるわ。ムーディ先生の授業」
「いつ?」
「今日の午後。あの人、生徒に教えられるのかしら……」

双子とリー・ジョーダンが審査員に年齢を誤魔化す方法を話し合っている様子を横目に見ながら、飛鳥は朝食のトーストに齧りついた。

「人柄を知ってるような口ぶりだね。知り合いなの?」
「逸話はいろいろと。人に教えるタイプではないと思っていたから、意外だったのよ」
「歴戦の闇祓いなら、指導とかしてたんじゃない?」

アンジェリーナは首を傾げて指摘したが、飛鳥は肩をすくめた。
彼が指導らしい指導をできていたのか、甚だ疑問だったからであった。
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