Girlish Maiden

□Prolog
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――おまえは人を助けるためだけに生きなさい。

そう言われて育った少女がいた。
物心ついた頃から、普通とは違う力を使う彼女を縛るための言葉だった。
家の者は皆、力を素晴らしいと褒め讃えた。
特殊な家系だったが廃れかけだった。
だから、勘違いしたのだ。
少女の扱う力が家に伝わる力であると、皆がそう信じて疑わなかった。

……無理もない。

最後に力を持っていた者は彼女の曽祖父にあたる人物であり、彼女が生まれた時は既に故人だった。誰も判別できないのだから、それは仕方の無いことだった。
しかし、少女は全くその力が使えないわけではなかった。
成長するにつれてある程度のことはできるようになったが、親族が期待したほどのものではなかった。

それでも、彼らは構わなかった。
“多くを望みすぎてはいけない。今持っているものだけを現実として受け止め、使え”という家訓に従った。
少女もそれで良かった。
重荷を小さな身体に背負い、がむしゃらに学びながら生きた。


――だがそんな生活も、少女が7歳の時に終わりを迎えた。

彼女の閉鎖的で小さかった世界は、異国からの来訪者によって呆気なく崩されることとなる。


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