色の消えた青春の1ページ

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「失礼しまーす」

軽くノックをし、ドアを開けた。
ひょこっと顔だけを覗かせると、数人の教師が振り返った。

「転校生の東崎優羅ですけど、担任の先生はいらっしゃいますかー?」
「ああ、こっちに来てくれ」

声が聞こえてきた方を見ると、一人の若い男が手を振っていた。
革靴をカツカツ鳴らしながら、はねるような足取りで近づく。

「初めまして、俺が担任の岡田だ。よろしく」
「よろしくですー」

にこにこ笑い、握手をする。

実はこの男、エデンの人間だ。
大神と桜の通う輝望高校のように、珍種が校長兼生徒会長を務めているわけではないのだ。

何が起きてもすぐさま隠ぺいできるように、エデンの人間がしっかりと見ている。
だが、そんなことは億尾にも出さず、二人とも笑顔で会話をしている。

「……優羅さん」
「……なにー?」

不意に、岡田が声のトーンを落とした。

「敵方に異能者がいるとの情報が。お気をつけて下さい」
「分かった。……君もね」
「はい。……じゃあ、まだ時間もあるし、学校を散歩してみたらどうだ?広いからな、迷うなよ!」
「んー、頑張りまーす」

馬鹿でかいこの学校で、どうやったら迷わずに生活しろというのだろうか、この男は。

「クラスは3年A組。隣の校舎の三階な!」
「はぁい。失礼しましたー」

職員室を出ると、雪比奈が待っていた。

「……早いな」
「エデンの人が担任だからねー。任せとけばいいんだよー

雪比奈の手を取り、引っ張る。

「行こっ、テニスコート」
「ああ」
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