色の消えた青春の1ページ

□CODE:03
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「……で、何部なの?」

廊下に出て、歩きながら尋ねた。
見た感じ、そこそこ引き締まった体つきだ。
絶対とは言えないが、スポーツ系だろう。

目を細めて見る。

「テニス部だ。俺は部長だからな、休む訳にもいかねえ」
「そかそかー。強いの?てか君は強いよね」

腕の筋肉を眺め、跡部を見上げる。
実は隠れ筋肉フェチな優羅は、見るだけでどれほどの実力者なのかくらいは分かる。

まあ、テニスについてはまた別の理由があるのだが。

「……分かるのか?」
「うん。昔、知り合いがテニスしてたし」

何年か前――小学5年生くらいだったか。

名前は思い出せないが、CODE:BREAKERの仕事関係で通っていた学校で出会ったのだ。
……笑顔が、妙に怖い子だったのは覚えている。

「レベルとかわかんないし、そんなにはっきりは言えないけど。君は、強いよね?」
「まあ、な。全国を狙える」
「そか。頑張ってねー……って待って待って」

あることに気づき、優羅は顔をしかめた。

「夏休み……さ。部活……」
「合宿もあるぜ」
「うにょーん……。めんどいよーるいるいー……」

帰りたい。もう、初日からめんどくさい。
溜め息を吐き、そして延々と続く長い廊下に、また肩を落とす。

「はあ……。んで、君はどこまで知ってるの」
「どこまで?何故殺されかけているのか、とかか?」
「うん、そこらへん。その様子だと、見当もついてないみたいだね」
「ああ。心当たりがありすぎる」

金持ちすぎるもの大変だ、と優羅は肩をすくめた。
例えば、この長い廊下とか廊下とか廊下とか玄関とか。

「お前のことも、よく知らされてない」
「だろーねー。正直、不安でしょ?間違っても強そうに見えないもんね、私」

けらけら笑いながら言う優羅に、跡部は思考しているのか眉を寄せた。

「だがな、俺様の両親がただの弱い雌猫を護衛につけるわけがねえ」
「雌猫て……。俺様イケメンにしか許されない台詞だよね。まあ、仮に君がナイフ片手に襲ってきたとしても私は一瞬で君を殺せるね」

さらりと言うと、跡部は鼻にしわを寄せた。
ああ、せっかくのイケメンが!

「まあ、私を認めてくれるなら、お願いには極力従ってくれる?いざという時に守れなかったら元も子もないし。……クソ眉毛に点数引かれるし」

最後のは小声であったが、隣を歩いていた跡部が僅かに肩を震わせた。

「…命令されんのは好きじゃねーが、まあいいだろ」

そこでようやく部屋に着いたのか、これまた豪奢な扉の前で立ち止まった。

「お前の部屋はここだ。一旦荷物を片づけてから右隣に来い。まだ話すことがあるんだろ?」
「ん、そだね。じゃああとでー」


***
フラグを立てました(笑)知り合い設定やってみたかった。

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