夕闇イデア
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凛桜がそこに着いた時、ちょうど空から降りてきた機体がゴンドラを掴んだところだった。
中にはコナンと、気絶中の見知らぬ男が乗っている。
「ああ、もう!」
凛桜の体は軽く、風圧に耐えきれない。
柱に捕まりながら、ぐっと奥歯を噛んだ。
反対側では、赤井がライフルで機体を狙っている。
だが彼も風に煽られ、体制を崩していた。
そうしているうちに、ゴンドラは上空へ連れ去られようとしていた。
だが。
「えっ」
キュラソーが乗っていないことに気がついたのか、機体から出ていたアームがゴンドラを離した。
「そういえばキュラソーはどこに――」
ゴンドラは凄まじい音を立てて落ちていく。
凛桜は迷いなく赫子を伸ばした。
ゴンドラに幾重にも巻き付けるが、重みと勢いで支えきれない。
「くッ―――」
ぶちぶちと嫌な音を立て、赫子がちぎれていく。
凛桜も引っ張られ、ゴンドラを追って落ちていった。
「ああああちょっとこれ鱗赫にはきっつい……!!」
壁を引っ掻き、なんとか勢いを殺そうとするが効果は全くない。
ゴンドラは観覧車内部にあちこちぶつかり、中心あたりまで到達しようとしていた。
「くっそ……!」
今解放できる最大限を出すが、十分な食事をしていないせいで出力がない。
せめてゴンドラがひっくり返らないように調整するので精一杯だ。
凄まじい音と共に、ゴンドラがようやく止まった頃には凛桜は肩で息をしていた。
「はぁっ……はー……あーしんど……」
「凛桜さん!?」
「無事かぁコナン君。いやちょっと冗談で済まない高さから落ちたから、骨の5、6本くらいは折れてるかと思った」
ゴンドラから放り出されたコナンは目を見開いた。
凛桜は、どこかに引っかかって止まっているゴンドラの上にいた。
……違った。
彼女の腰から伸びた太い何かがゴンドラに巻き付き、動きを止めている。
鱗のような模様のそれは今にもちぎれそうな箇所がいくつもある。
「ごめん、そこの人移動させて。ちょっと限界……っ」
既にぎりぎりなのだろう。
彼女の声は苦しげだ。
「おじさん、起きて!!」
「そーだ起きろ、落とすぞ」
余裕がないはずの凛桜がドスを効かせた。
コナンが男の襟首を引っ張り、どうにか安全な場所へ移動させる。
「ふぃー……」
それを見届け、凛桜は赫子を離した。
ローター音はまだ聞こえる。
さらに何か仕掛ける気か、と視線をやった直後。
無数の弾丸が、観覧車を攻撃し始めた。
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