魔界王子 BL小説

□第4話 黒き想い 
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ケヴィンにチョコを
渡し終えたウィリアム。
しかし、未だ未解決の
問題が一つ。

それは、ダンタリオンに
チョコを渡すこと。

もうすぐ日付が
変わってしまう。(現在22:45)

ウィリアムは
意を決してダンタリオンの
部屋へと向かう。

ダンタリオン
難易度★★★★★
※ウィリアムの個人的目算



「…おい、居るか?」

ノック音と
ウィリアムの気負った声が
廊下に響く。

「何だ?こんな夜遅くに。
 抱かれたいのか?
 それとも襲われたいのか?」

「なっ…!」

いきなりの下ネタに
言葉が詰まるウィリアム。

「アホかっ!?
 これだっ!これっ!」

そう言ってチョコの箱を
彼の前に差し出す。

(案外楽に渡せたな…)

今までの感情は杞憂だったのかと、
内心安堵するウィリアム。

しかし、

「なんだ、媚薬か?
 避妊用具か?用意がいいな」

「………」

ぬか喜びだったと謂うことを
思い知ったウィリアムだった。

「違うっ!
 何でお前と夜を
 共にしなきゃならんのだっ!
 今日はバレンタインデーだろうが!」

ウィリアムは苛立ちを隠せない。

しかし、当のダンタリオンは、

「『ばれんたいんでぇ』?
 あぁ、好きな異性に
 チョコレートを
 渡すという、人間の儀式か」

この行事にはあまり
関心が無かったようだ。

(こいつ、モテそうなのに
バレンタインデーを忘れていた?)

「だから今日は
 やたらとチョコの
 プレゼントが多かったのか。
 やはり、俺様の
 魅力は計り知れんな」

「……(やっぱり貰ってたのか)」

なんとなくジェラシーを
覚えるウィリアム。

(しかし、貰うとなると
他校の女子か?或いは魔界?)

「ところでウィリアム」

「何だよ?」

どことなく、ウィリアムの
声は不機嫌そうだ。

「人間は、
 同性同士でも
 チョコを渡すのか?」

「別に、流行ってるから
 良いんじゃないか?友チョコとか」

「友チョコ?
 そうか、あいつら、
 俺に惚れたんじゃないのか」

(全部男から貰ったのかよ!?)

盛大にツッコミを入れるウィリアム。

「ならウィリアム」

「今度は何だよ?」

ウィリアムが聞き返すと、
ダンタリオンは
俄かに悲しそうな顔になった。
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