魔界王子 BL小説
□第1話 ヒトのキモチ
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わからない。
ウィリアムは
自室で悶々と考え込んでいる。
理由は───
「ウィリアム。
まだ部屋にいたのか。
授業に遅れるぞ」
「煩い!
そんな事は分かってる!
俺は今機嫌が悪い!」
理由はそう、コイツ。
ダンタリオンだ。
「仕方ないな。
俺が連れて行ってやる」
「おいっ!何をする!」
いきなりダンタリオンが
ウィリアムを抱きかかえる。
しかもお姫様だっこだ。
「さぁ、行くぞ」
「やめろ!恥ずかしい!」
「なら、どうして欲しい?」
優しげな笑みで訪ねるダンタリオン。
その端正でミステリアスな瞳に、
ウィリアムは引き込まれてしまう。
「放っておいてくれ!」
「放置プレイか?」
───アホか!?コイツ!?
呆れて物も言えないウィリアム。
「俺は激しい方が好きなんだが」
「お前の嗜好は
どうだっていい!
それに、放置プレイが
したいんじゃない!」
ウィリアムは苛立つ。
当然と謂えば当然だ。
「…じゃあ、SMか?」
「違う!
どうしてお前は
プレイの話ばかり!
その路線から離れろ!」
「じゃあ、何がしたいんだ?」
「だから………」
言えない。
先程は苛立ちに任せ
『放っておけ』などと
言ったが、
今回は言葉が詰まった。
「どうした?
ヒトは具合が悪いと
機嫌まで悪いと聞く。
どこか悪いのか?
疲れが溜まったのか?」
心から心配そうな
面持ちで尋ねるダンタリオン。