災い転じて、恋となる。

□第1章 災い、そして出会い。
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どういうことだよ……、これ。

俺は
机の上のメモを見て、
真っ先にこの言葉が
脳内を駆け巡った。

さて、その問題の
書き込みだが、

『結夜へ

 いきなりで悪いが、
 借金返済の為に
 この家を売った。
 明日中に
 荷物をまとめて
 出て行ってくれ。

       不肖の兄 雅司』

「何だよ!?マジで何なんだよ!?」

いきなり出て行けって、
どこへ!?
ウチには頼れる親戚も、
知り合いもいない。

「てか、兄貴どこ行ったぁ!?
 バカ兄貴ぃ!アホ雅司(まさし)!」

叫ぶ。

こんなにも腹の底から
声を出したのは初めてだ。
しかし、唯一の肉親である
兄に借金があったとは。
両親が亡くなってからは
ずっと二人で
苦楽を共にしてきたが、
借金を作るような生活は
していない。

しかし、たちの悪い冗談は
言わないのが兄の性格。
これは(信じたくないが)嘘では
無いだろう。

「…マジでどうしよう。
 これからの生活は?
 学校は?家は?
 兄貴は?彼女は?」

……最後は関係無いですね。
すみませんでした。

自分で言ったものの、
こんな場面で一瞬でも
不純なことを考えてしまった
自分が恥ずかしい。

「だから、マジで
 どうすんだ!?これ!」
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