Tales of Liebe (FBL小説)

□第一章 騎士と、皇帝と
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〜ロラン目線〜

「またそれ。
 いい加減直して下さい」

「す、すみ…悪い」

「なんで敬語何ですか?」

「いや、
 お前は皇帝で
 俺は騎士だぞ」

「でもロランさんの方が年上ですよ」

「関係ない。というか、
 お前は敬語使ってるじゃないか」

「僕は、親愛と慕情の証としてです」

「お前なぁ…」

もう何十回、何百回と
繰り返したやりとりだ。

「…僕のこと、
 皇帝としか見ていないんですか?」

「そ、そんなことは無い!」

慌てて否定する。
そんなことは無かったし、
第一そんな悲痛な顔をされると…。
なんだろうか、この気持ちは。

「じゃあ、どう思ってますか?」

「…、可愛い奴」

頬を赤くしながらそう言う。

「…そうですか」

嬉しそうな、
悲しそうな顔をする。

〜レオン目線〜

そういう意味じゃないんだ。
そんな事、ロランさんは
絶対に思っていない。
だから、期待してはいけないんだ。
そう自分に言い聞かせる。
「可愛い」の一言で、
どうしてこんなに動揺するのだろう。
答えは知っている。
しかし、相手は男。
この想いを伝えれば、
軽蔑されるかもしれない。
良くて優しく断られるくらいだ。

味方等いない世界に、
ただ一人の盟友のようなもの。
彼こそがそうだ。

家庭教師兼近衛兵として、
自分の前に現れた。
十歳の頃だ。

初めは頑なだった心も、
彼に対しては徐々に
開いていった。

そして、慕情は恋情へと
変わっていった。

想いは
報われないのかもしれない。
いや、
報われる訳が無い。男同士である。
ただ、傍に居て欲しい。

それは強欲だろうか?

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