main

□7
2ページ/5ページ

校門も近くなった頃。

「あ、木原くんだ」

振り向かなくても分かる、かわいらしい声が聞こえてきた。

「おはよー」

足を止めると、海村のみんなが近づいてきた。

「おはよう」「おはよ!」

私と紡も挨拶を返した。

「……具合は?」

続けて紡が、光を見て言った。

投げ飛ばされたことを言ってるんだろう。

「あ、ああ」

光は少し照れくさそうな様子を見せた後、紡を追い越しながら、

「紡、昨日はあんがとな」

あまり大きくはない声で確かにそう言った。

が、それに反応する前に、大声が割って入ってきた。

「あぁぁぁぁぁぁーーーっ!!」

そのまなかの大声には、とてもびっくりしてしまった。

まなかは、まさにわなわなといった風に光を睨む。

「わ、私、下の名前で呼ばないようにしてたのに……っ!それってえっちなんでしょ、ひぃくん!!」

「え、えっち……?」

何それ……えっちとか口に出しちゃう方がよっぽど……。

混乱して光を見ると、光は一瞬ぎくっとした後、

「お、男同士だからいいんだよ!」

と、めちゃくちゃな開き直りをした。

「ひぇぇーーっ!?」

それに素直に反応しちゃうまなかもまなかだけど。

少し呆れて、私は先を見守ることにした。

「そっか、じゃあ僕も。紡」

便乗して、要も片手を上げて紡を呼んだ。

面白がってる……よね。

「ああーっ!!要までずるい!私だって……いいよね、紡くん!」

「あ、ああ。うん」

「もう、あんた達は……」

ちさきも呆れたように笑う。

「決まりね!」

まなかの嬉しそうな声と共に、私達の笑い声が響いた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ