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放課後、朝と同じ木工室に集まってから、みんなでおじょしさまにするための木を採りに行った。

「なんでおじょし作りをやろうって?」

木を押さえながら、要が紡に尋ねた。

なんとなくは分かるけど。

「うちは漁師だから……海のおかげで生きてるから」

案の定な紡の返事。

「おふねひきは、そのお礼なんだよね」

「うん」

紡から、そのことは聞いたことがあった。

紡は海を大事に思ってる。

それはよく分かってるから、紡がおじょしさま作りに立候補したというのも全く疑問になんて思わなかった。

紡はそういう人だ。


「そういえば、初めて会った朝、2人は一緒にいたよね」

ふと思い出したように要が私に話しかけてきた。

「ああ、そういえば」

ちさきも同意しながら私を見る。

「仲、良いの?」

一瞬ちさきがちらっとまなかの方へ視線を送ってから尋ねる。

「?……私は仲良いつもりだけど……」

言いながら、紡の方を窺う。

こういうの、本人の前だとちょっと気恥ずかしいし、緊張する。

否定されたら怖い。

「そ、そうなんだ」

なんだかぎこちないまなかの相槌。

紡は、否定しなかった。

「うん……あの、付き合いが長いから」

「へぇー」

「そんなの今はどうでもいいだろ」

光が堪えかねたように口を挟んだ。

「手、止まってんぞ」

少し機嫌が悪そうだ。

でも確かに、私達はいつの間にか作業が止まっていた。

「ごめんごめん」

私は謝って、手元に集中することにした。
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