main
□2
2ページ/3ページ
「おじょしさま?」
「そう。おふねひきで使うんだ」
「ああ、あれ!」
いつものように紡と一緒に帰りながら、紡は光くんやまなかちゃん達と"おじょしさま"を作ると話してくれた。
おふねひき自体と、それがどんなものなのかは知っていたけれど、実際に見たことのない私はおじょしさまのイメージがつきにくかった。
「学校で作るの?」
「ああ。まだこれからだけど」
「へえ……」
そう聞いたのは、出来るなら私も参加したいと思ったからだ。
「あのさ、」
私も一緒に、という話を切り出そうとした時。
「おーい」
後ろから聞き覚えのある声が飛んできた。
振り返ると、思った通り海村のみんなだった。
手を振ると、おう、と光くんが手を少し挙げて笑ってくれた。
4人が近づいてきて、表情がはっきり視認出来る距離になる。
そこで、まなかちゃんの表情があまり明るくないことに気づいた。
目を伏せがちにしている。
「まなかちゃん?」
「えっ?」
声をかけると、まなかちゃんは驚いたようにこちらを見た。
大きな瞳は吸い込まれそうに大きく、きれいで。
かわいいなぁ……。
何かにすがるような目を見ていると、何もした覚えがないのに罪悪感が……。
「どうしたの?元気がないように見えるけど……?悩みごと?」
悩みごとなら、私よりもちさきちゃんとかに聞いた方がいいのだろうけど、一応。
私の考えがわかったのかわかってないのか、まなかちゃんは大きく首を振った。
「う、ううんっなんでもないの!ほんとに!ねっ」
私にねっ、と言われてもそれはわからないけど。
しかも何故か、ちさきちゃんも要くんも微妙な顔してるし。
…………なんだろ?
まあ、元気そうに思えるし、大丈夫、かな。
仲良くなって日の浅い私に突っ込まれたくないことなのかもしれないし、そう完結させることにした。