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次の日。
いつものように、私は紡と一緒に登校していた。
昨日はあの後、そのままみんなと同時に解散したから全然なんてことなかったけれど、
改めて二人で歩いていると意識してしまう。
どう思ってる、かあ。
なんてこと聞くのよ要ってば。
そんなこと言われたら、余計に気にしてしまう。
ちらっと紡を窺うと、目が合ってしまった。
慌てて逸らす。
「……どうかしたのか?柚奈」
「な、何がっ?」
「今日はずっと黙ってる」
……頭の中がいっぱいで、それどころじゃなかった。
「いや、何もないよ……」
なるべく自然に笑顔を見せる。
昨日からこんなのばっかりだ。
「何かあるなら、話したい時に話してくれればいいから」
紡を見れなくて歩く先の地面を眺めていると、紡の声が聞こえた。
顔を上げると、紡も前を向いたままだった。
そして、そこからは何も言わない。
………………本当に、この人は。
「うん……。ありがとう。ほんとに何でもないからね!」
気を抜くと甘えてしまいそうになる。
さりげない、けれども確かな優しさに。
私は、少しだけ学校に向かう足を速めた。