main
□4
1ページ/2ページ
紡と柚奈は、幼馴染みであると言えた。
小学校も、中学2年になる今までも、ことあるごとに一緒に過ごしていた。
柚奈が紡に依存気味だったのもある。
しかし、柚奈には、紡が子供心ながらにも守らないといけない、そう感じさせる何かがあったことも、理由になるだろう。
それ故に、今も。
「つ……木原くんっ」
名前を呼ばれ、紡は作業の手と思考を止めて顔を上げた。
視界には、まなかとちさき、少し離れた机に光がいた。
そのうち、まなかが立ち上がって紡の方へ2、3歩近づいている。
「何?」
あからさまにむっとした表情でまなかを睨んだ光とそれにひるんだまなかに構わず、紡は聞き返す。
「どうして……」
紡の声に応えず、光の方を窺いながら小さくもごもごと呟くまなかに疑問の視線を向けると、
まなかはううん、と手を振って否定し、おじょしさまの胴回りについて質問をしてきた。
「ちょっと待って」
そう言うと紡はおじょしさまの胴回りを測り出した。
今日も、昨日に引き続いて紡達はおじょしさま作りをしていた。
今日は柚奈が用事で参加できないと、帰って行った。
すまなそうに謝りながら帰って行く姿を見ながら、紡はその理由へと思いを巡らせた。
といっても、想像がつかないことは全くなく、むしろ容易だった。
今日が、夕食作りの当番なのだろう。
あくまで客観的に、紡はそう考えた。
客観的でなければ、違う方向に思考が飛んでいってしまう。
そしてその先は、今の紡にはどうしようもない事実でしかなかった。