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「結局何だったの……?」

光が目が覚めるまでの間、待っている要達と話すことに決めた。

要は、私の疑問に肩をすくめる仕草で答えた。

「ねえ、柚奈は知ってたの?海の人が地上の人と恋に落ちたら、村から追放されるって」

ちさきが私を窺うようにして聞いてきた。

その後ろで、まなかも興味津々といった風にしている。

「え、うん。知ってたけど。…………、私のお母さんも、追放されてたから……」

言うかどうか一瞬迷ったけれど、この3人ならいいやと思えた。

「えっ」

想像通り、3人とも驚いた表情を浮かべた。

「そうだったの……!?」

「うん」

「え、でも柚奈は……」

要の言わんとしていることはすぐにわかった。

誰かは気づくだろうと思っていたし。

「海の人間だよ。正真正銘。エナもある」

腕を掲げて見せると、太陽の光を受けてエナがきらりと輝いた。

「じゃあ、…………」

そこからは、要も言えないようだった。

だから、私から言った。

「不倫、だよ」

もちろん、不愉快な気分にさせてしまうことも充分に有り得たけれど、今更だし、それに隠す気もなかった。

「そんな……」
「でも私、話題に触れられること、そんなに気にしてないから」

意識するなというのは無理かもしれないけど、せめて笑ってみせた。

「どうして……?」

まなかは、自分のことでもないのに泣きそうになっていた。

素直で、純粋で、本当にかわいい子だと思った。

だから、泣いてほしくない。

「そんなの、私にもわからないよ。でも、いいの。覚えてないくらい小さい時のことだし、地上に来たお陰で、紡と会えて、みんなとも会えたから」

慰めるようにまなかの頭を撫でながら言えば、いくらかまなかの表情は明るさを取り戻した。

「そう……」

やっぱり、こんな話しなければよかったかもしれない。

空気を暗くしてしまった。

だから、無理矢理話題を転換することにした。

「光のお姉さんって、どんな人なの?」
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