天の星

□What your name ?
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翌日の昼休み、彼女は訪れてこなかった。
不思議な事に物足りなさというか少しの寂寥感を覚えた。

「んー?今日はおねーたま来てないの?」

「うっさい」

順が驚いた様子でこっちを見るが、自分自身苛ついているのに戸惑っていた。


その次の日の昼休みも来なかった。
モヤモヤした気分を払拭したくて放課後はいつもの倍以上の稽古をした。

軽くシャワーを浴びて帰路につく。
汗を流したおかげで少しは気分が晴れたような気がしたが何かがつかえているように胸のあたりが苦しい。


「あっ、無道さん」

「………………」

思いがけない遭遇に目を見張った。

「2日ぶり?かしら。ちょっと忙しくて顔出せなかったの。寂しかった?」

悪戯っぽく笑う

「………」

さらに驚くべきは先程までの重しのようなものがストンとなくなった。

「無道さん?」

「え..?あぁ…忙しいなら来なくていいですよ」

「またそれを言う。だから言ってるでしょ?顔が見たいって」

「はい、なので暇な時来て下さい。寂しいですし」

「好きだから会いに行ってるって何度言ったら分かる…って、え?」

「忙しい時はいいので暇な時会いに来て下さい」

「えーっと…いいの?」

「ええ、お願いします」

「それって…つまり..」

「嫌いじゃないって事です」

「うわ、素直じゃない」

「こればかりは性格で」

「まぁいっか。そういうとこ含めて好きだから」

「そうですか。あ、それと1つ聞いていいですか?」

「ん?」

「名前知らないんで教えて下さい」

「…冗談よね」

「いえ、元白服としか」

「うわー無道さん、それはないわ…ま、今回は許してあげる。祈紗枝、次聞いたら…分かるわよね?」

「そこまでバカじゃないですよ、祈さん」

「そこで苗字を選ぶ?」

「祈さんが名前で呼んだら考えます」

「んー無道さんの方がいいから我慢しよっと」

「基準が分かりません」


ああだこうだ話しながら2人で並んで帰った。もちろん、手を繋いで



「それにしても…」

「どうしました?」

「押してダメなら引いてみろって本当なんだ」

「…………」

「そんな目で見ないでよ。忙しかったのも本当だから」

「そうですか」

「信じてないなぁ」
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