二次小説
□ずっと一緒
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幼いあの頃は何の懸念もなくこの先一緒にいれるものだと信じてた
一度別れた後も私は彼女のもとへ戻ることを考えていたし、実際父を説得して浦の星の卒業生となることができた
しかし再び別れの時が来てしまった
ずっと一緒なんて──無理なのかな
「果南、海外でインストラクターの資格を取るのね」
「うん、生まれ育ったここから離れるのは迷ったんだけどね。もっと広い海を知りたいし、鞠莉やダイヤも自分の道を決めたんだから私もね」
そういう彼女の目には、もう迷いはなかった
「そう…イタリアに行く私がいうのも変だけど、皆バラバラになるんだよね」
今度はここに戻れば会えるわけではない
それがとても寂しいことに感じる
「すぐにとはいかないけどさ」
果南が右手の小指を差し出しながら、私の目を真っ直ぐ見る
「必ずまた会えるから。なんなら私が会いに行く」
「…ええ、そうね」
私も同じように手を差し出し、ゆびきりした
─あれから4年
私は無事イタリアの大学を修了できることになった
最初は戸惑ったけど、こちらでも良い友に恵まれていたのだと思う
ダイヤや果南とは連絡は取り続けているが、実際に会えたのは数えるほどだ
「4年、か……もういいかしら」
待つのはもう十分で、私から果南に会いに行くことにした
あの日伝えられなかった言葉を伝えに─
“大切なことは特別な日に伝えたい”
そう思ってこの日を選んだ
彼女が経営するダイビングショップを訪れる
「Hi...って、鞠莉!?」
「久しぶり、果南」
「驚いた、急にどうしたの?」
「会いたいから会いに来たわ」
もうすぐ店を閉めると言った彼女を手伝い、2人で果南の借りている家に向かった
「来るなら教えてくれればよかったのに」
「サプラ〜イズ、内緒の方が面白いかなって。それに─」
「鞠莉?」
「今日は果南の誕生日だから、直接お祝いしたくて。誕生日おめでとう!果南」
「ありがとう、鞠莉。ダイヤや皆から連絡は入ってたんだけど、直接ってやっぱり嬉しいね」
そういって笑う果南の表情を見るのは久々で、会いに来てよかったと思う
でも今日はそれだけじゃない
「それともう1つ」
「え?」
「私、卒業した後はこっちで働くつもりなの」
「それって─」
「随分経ってしまった気がするけど…果南、ずっと私と一緒にいてくれませんか?」
目を見開き驚いた表情の後、私にだけ見せる優しい表情で抱き締めてくれた
「私から言おうと思ってたのに、先を越されちゃったかな」
「果南が遅いからよ」
「ごめんごめん。最高の誕生日プレゼントだね」
「ええ、勿論。果南限定のスペシャルなプレゼントよ」
「ありがとう、鞠莉。私からも─ずっと一緒にいよう」
これから先、色んな障害があるかも知れない
でも2人でなら、一緒なら─大丈夫と、そう思える
(そうよね、果南?)
そう心の中で問いかけ、私も腕をまわし離れないよう抱き締めた