二次小説
□ちゃんと見せてよ
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お盆のこの時期は観光客も少なく、必然的にダイビングショップも暇になる。
喜ばしくないことではあるがそういう時期だと割り切って今ある時間を有効的に使おうと気持ちを切り替える。
「課題はほぼ終わらせてあるし、海にでも行こうかな」
逡巡していると机の上の携帯が鳴った。
画面には1つ年下の可愛い恋人の名前が表示されている。
「もしもし梨子?」
「こんにちは果南さん。今電話しても大丈夫でしたか?」
「うん、平気だよ。どーしたの?」
梨子は私が店の手伝いをする邪魔にならないよう気を遣ってくれる。
むしろ気を遣わせすぎて色々我慢させている節もあると鈍感な私でも気付くくらいだ。
「あの…えっと、その」
「ん?」
「声が…聞きたかったんです、果南さんの」
振り絞るような声、携帯の向こうでは耳まで真っ赤になっているであろうと容易に想像できる
「ねぇ、梨子…」
「はい?」
「今日うちに泊まりに来ない?」
そんな可愛いことを言われたら、こっちも我慢できないというもので
「会いたいな」
1時間後、私は親御さんの許可をもらった梨子を迎えに来ていた
前回のお泊まりはちょうど1ヶ月前で、その時は私が梨子の家に泊めてもらった
自分から誘っておいてなんだが、2回目とはいえ緊張してしまう
(なんせ今夜は父さんもいないから2人きりなわけだし)
「果南さんっ、お待たせしました」
「今来たところだから全然待ってないよ」
そう言いながら梨子の手荷物を手に取り、空いてる手で梨子の手を取る
「じゃあ行こうか」
「っ…//」
「梨子?」
突然梨子が俯いてしまったので、声をかける
「………です」
「え?」
「そ、そういうことをさらっとやるのはズルいですっ//」
「そういうこと?」
何のことか分からずぽかんとしてしまう
─これが同級生2人から天然タラシと呼ばれる所以であったりする
「なんでもありませんっ」
顔に朱がさしているのを見るに、照れ隠しかなと推測する
触れると機嫌を損ねる可能性があるため、そっとしておくことにした