天の星
□trick or treat ?
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─コンコン
いつものように部屋で画面の女の子に文句を吐いているところにノックが聞こえた。
「無道さん、いる?」
「い、祈さん?!」
聞き慣れた声のはずなのに慌ててしまうのにはもう自分の中で諦めがついている。
「すみません、少し待ってもらえますか?」
言いながらも手を素早く動かして部屋を片づける。
相手にはお見通しだろうがさすがにこの状態を見せるのは避けたい。
「お待たせしました、祈さ‥ん?」
ドアを開けて目の前にあったのは
「…カボチャ?」
「trick or treat !」
(カボチャが喋った…?)
「あの、これは?」
「もう無道さんノリ悪いわよ」
カボチャの横から顔を出して言う祈さんに対して状況を理解できてないのにどう返せと思っても口には出来ないわけだが…
「…すみません」
「ふふ、無道さんは素直ね。部屋にあがっても?」
「あ、はい」
(そういえばわざわざ何しに来たんだろう、祈さん)
部屋に通して腰を下ろしてからそんなことを考えてると
「それで答えは?」
「はい?」
「だから答えよ。どっちなの?」
(…何か質問されたか、私は)
「trick or treat .」
「え…ああハロウィンですか」
「無道さん鈍いわね。カボチャもあったでしょ?」
「あまり気にするような事では無かったので。カボチャは‥よく分からなかったんですよ」
「らしいとは思うけどね。それでどっちなの?」
「確かここに…。あったあった、はい。」
一口サイズのクッキーが入った袋を差し出す。
「クッキーなんですけど大丈夫ですか?」
「予想外だわ…まさか無道さんがお菓子を持ってるなんて」
「普段は買わないんですけど、バカがたんぽぽ園に持って行かなきゃとか言い出したんでこれを。あいつはチョコを買ったので別のにしたんです」
「なるほど、黒鉄さんのね」
何か考えてる風の祈さんに声をかけるか迷ったが大人しく待つ事にした。