天の星
□cute
1ページ/2ページ
コンコン
「おー、開いてんぞー」
ノックの後すぐに返事が来る。
「お邪魔します」
「もう少しで区切りつくから適当に座ってろ」
「うん」
課題をやっている玲の邪魔にならない位置に座る。
特に何をするでもなく、ぼんやりと玲を見る。
(黙ってれば綺麗なのに)
別に口を開くと残念とかじゃなくて雰囲気というか…
玲は確かに格好いいけど実は同時に綺麗だと知ってる人は少ないと思う。
「よしっと、んで急にどうした?」
「明日外せない用が入っちゃったから今日渡そうと思って」
「…何の話だ?」
「玲、明日何の日か知ってる?」
「明日?2月の14日って…あぁ〜」
「嫌そうな顔してる」
「知らない奴等が大勢で大量のチョコ持ってくるんだぞ?普通に怖いだろ」
「玲モテるもんね」
想像するだけで大変そうだ。
「んなもん知るか。夕歩がいるから関係ねぇよ」
不意に言われて驚いたが普段そういうことを言わないから嬉しく感じた。
しかし次の言葉で体が強ばった。
「それにチョコとか好んで食わない」
「…………」
後ろで持っていた袋がガサッと音を立てる。
私の様子に少し首を傾げるあきらだが、すぐに思い至ったらしく私にしか見せない柔らかい表情を浮かべて近くに寄ってくる。
「お前からのは例外だ」
髪を少しクシャッとするように頭を撫でられた。
「…玲ズルい」
顔が熱くなるのを感じた。
「さぁて、何のことだかな」
そう言って意地悪く笑う。
「もう…」
仕返しに軽く胸に頭をぶつける。
(どこまでこの人を好きになるんだろう)
答えは決まってる
─どこまでも