天の星
□Me too…
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「…綾那」
「‥‥‥」
「綾那」
「…何?」
「綾那、なにか怒ってる?」
「…別に」
「嘘」
私は今恋人の部屋に来ていて、その恋人はというと先程からゲームをし始めていた。
私と一緒の時にゲームをするのは決まって機嫌の悪い時だ。
話をするためにしつこいくらいにまとわりついていたお庭番をゆかりを呼んで連れて行ってもらった。
「無意識かも知れないけど私がいる時にゲームをするのって機嫌悪い時なんだよ、綾那は」
「‥‥‥」
私が言うと綾那はゲームの電源を落として端に片付けた。
それでも私と目を合わせようとせず背を向けたままだ。
しばらくどちらとも口を開けずにいたがこのままでは埒が開かないと思い、綾那に近づき優しく抱きしめた。
「綾那どうしたの?…私なにか綾那の気にさわるようなことした?」
「‥‥‥」
「綾那言ってくれなきゃ分からない よ。私が居ると迷惑?」
「違う、それは絶対無い」
「…じゃあ、どうしたの?」
「…夕歩、笑わない?」
「笑わないよ」
「呆れない?」
「うん、呆れない」
綾那は少し躊躇っていたがゆっくり口を開いた。
「…さっき、あいつが夕歩に抱きついてたでしょ?まぁ幼なじみだから当たり前なのかも知れないけど…何だか夕歩をとられたみたいで…」
(…はい?)
(ナンダカユウホヲトラレタミタイデ?じゃあ綾那は 順に嫉妬して機嫌が悪かったの?)
「クスッ…」
「…夕歩、笑わないって言ったよね?」
「あっ、ごめんごめん…つい」
「私だってあの淫魔に、その…ヤキモチを焼くとかあり得んと思ったけ ど…」
段々と声が小さくなっていく綾那の顔は、真っ赤になっていた。
「綾那」
「…何?」
「私は綾那がそう思ってくれて嬉しいよ?だってそれだけ私のことを想ってくれてるって事でしょ?」
「…ん」
そう言いながらほんの少し体重を預けてくる。
「ありがとう、綾那」
私はゆっくりそう言って、抱きしめる力を少し強めた。
「…夕歩」
「なに?」
「ありがとう…」
「うん」
「それから…」
綾那はおもむろに私の手に自分のそれを重ねた。
そして、
「……愛してる」
ギリギリ聞きとれるくらいの声で、ぶっきらぼうに言う綾那に自然と頬がゆるむのがわかった。
(順の締まりのない顔、移っちゃったかな)
「私もだよ」