天の星

□I love you…
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「染谷さーん、聞こえてますかー」


ある日の昼下がり、順は恋人の部屋を訪れていた。
このところ雨続きで気が滅入っていたが今日は久々に太陽が顔をみせ、加えて恋人のルームメートが1日私用で不在ともなれば浮かれずにはいれないといったところだ。


「染谷〜、さっきからヒドくありませんかー」

かれこれ1時間以上この調子の順を、ゆかりは涼しい顔で聞き流して読書を続けていた。

「恋人より本の方が大事なわけですか。順ちゃん泣いちゃうよー」

「‥‥‥」

「…もー染谷なんか知らないっ」

そう言って順は不貞寝を決め込んだ。
そこで自分の部屋に帰らないところをみると、やはり一緒にいたいのだろう。
それを見かねたゆかりは本に栞をはさみ、寝転がっている順の隣に座った。

「順…」

「‥‥‥」

「順、聞いて」

「…何?」

呼ばれて体を起こす。

「私はあなただからさっきみたいな態度が出来るの。他の人だったら気を遣っちゃってとても出来ないけど、私の側にあなたが居ることが当たり前だから私は自分のしたい事をしていられるの」

「…そりゃーそう思ってくれるのは嬉しいけどさ、私だって寂しーと思う時や構って欲しーと思う時があるわけで…だからその、今みたいに言葉とかそーゆー分かりやすいもので示してもらいたいと言うか、その…」


言いたいことがまとまらず、言葉を繋げずにいる順をゆかりは正面から抱きしめて肩口に顔を埋めた。

「染谷?」



「…好きよ、順のこと」



「染谷…」

抱きしめられているせいで順にはゆかりの表情は見えないが、頬や耳から伝わる熱さから容易に想像出来た。

「‥‥‥」

「私も染谷が好きです」

「っ……」

「普段からもそうやって染谷から言ってくれると嬉しいなぁ〜」

「…言わないわよっ」

いつもの調子に戻った順に、ゆかりは素っ気なく言った。


(まぁでも染谷から言ってくれるのは嬉しいけど、心臓がもたないかなぁ)

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