三日月

□愛してるから
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『ん…ぁあ……あれ?』



目が覚めると、目の前が真っ暗で目隠しか何かをされているようだった。
そういえば眠ってしまった時前後の記憶がハッキリとしない。

それに、手足を縛られ、椅子に括り付けられている。


ガタッ……ガチャッ

『……ビクともしないな』

どうやら誰かから誘拐されたようである。

『(……一体何故、俺が)』

いたいけな中学生を捕まえて、エロ同人みたいな事をされてしまうのだろうか
鳳雅矢、15歳にして貞操の危機到来である。

自分で言うのもなんだが、俺は男女問わずそこそこモテるので童貞ではない。
しかし、誘拐されて縛られているこの状況では自分の清らかなおしりへの心配が募るばかりである。


キィィバタンッ


しばらく1人でくだらないことを考えていると、ドアが開く音がした。複数人の足音が聞こえてきた。足音からして7人くらいだろうか?

はやくこの鎖をとってほしいものだ、いい加減手が痛い。あと目隠しもだ。
出来れば身代金目的の誘拐であってくれ。
俺は処女のままは死にたい。後生ですから。

そんな呑気なことを考えていたら
いきなり声をかけられる。

?「雅矢ぁあ〜大人しゅう待っとったか?」


ん?この低めなエロボイス……
聞き覚えがあるな、まさか……


『その声は……お前、侑士か?』


侑「お、当たってんで〜流石俺の雅矢やなぁ?」

?「雅矢先輩すいません、ライバルが多すぎて…こんな手荒な真似をしてしまって…」

『長太郎もか!?』

長「そうです!嬉しいです先輩が俺のことを声だけで聞き当ててくださって!」

?「…はぁ、本当はこんなくだらないことしてないで、先輩を俺のものにするはずだったんですがねぇ」

『若!?』

若「当たりです先輩」


ここまできたら誰がこの場にいるのか大体分かってきた。
ここにいるのは全員氷帝テニス部レギュラー
跡部、芥川、忍足、向日、宍戸、鳳、日吉の7人だろう。

聞きなれた声を聞き、
誘拐と言っても身内の犯行だったと分かりホッとする気持ちもあるが、より一層貞操の危機を感じる。
こいつら7人を前にしてこの身動きが取れない体制でいるのは危険だ。


何故か?
それはこの7人にはこんな噂があるからである。



《氷帝テニス部レギュラーは鳳雅矢のことが好きだ (恋愛感情ではぁと)》


というものだ。
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