新しい日常編
□4.私の大切な初恋の人。【前編】
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*二年生女子side
ーー数年前
うぅ、結構重い…。
昼休み、私はたくさんのプリントを抱えて教室を目指していた。
用があって職員室に行ったら、たまたま近くにいた担任の先生に見つかって、運んでおくように頼まれてしまったからだ。
「こんなにあるなら、先生が自分で持っていけばいいのに…」
そんな本音を先生の前で口に出せるはずもなく、私は一人でプリントを運び始めたのだった。
…あ、よく考えたら二回に分ければよかったんだ。
はぁ、ホント頭悪いな、私。
悪いのは頭だけじゃないけどさ…。
落ち込みながらもあと少しで教室というところまで来たとき、後ろから私を追い越そうとした男子たちにぶつかられてしまった。
「あっ!」
はずみでバラバラとプリントが辺りに散らばる。
あぁ…、最悪……。
前を見ると、私にぶつかった男子たちはこっちを振り向くこともなく、ワイワイと騒ぎながら歩いていく。
たぶん話すのに夢中で、ぶつかったことにも気づいていないんだろう。
それにもし気づいてたとしても…どうせ謝ったり助けたりなんかしないよね。
こんな可愛くもなんともない女子なんか、どうでもいいんだろうな。
もしぶつかった相手が可愛い子だったら、すぐ謝ってプリント拾うのも手伝うくせに。
だから男子って嫌い。
可愛くない自分は…もっと嫌い。
…別に、いいけど。
こういう扱いには慣れてるし……。
どんどん広がっていく暗い気持ちを振り払うように、私はプリントを拾い集め始めた。
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