氷帝での出会い編

□10.映画みたいなクリスマス。【中編】
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顔をあげると、そこには同じくらいの年代の男の子が立っていた。

少しかがんで、私に手を差し出してくれている。






「…キミ、大丈夫?
どこか痛むのかい?」



私が驚いて何も言えずにいると、その男の子は心配そうに尋ねてきた。


『あ、いえ、大丈夫です。…ありがとうございます』


少し迷ったけど、その人の手をとって立ち上がった。

こんな情けない状態で男の子の手に触れるのは何だか恥ずかしかったけど、断るのは逆に失礼だし…それに、親切にしてくれた気持ちが素直に嬉しかった。



まだよく状況がのみ込めていない私に、その人はさっき私が落としてしまった荷物を拾って渡してくれた。


「はい、どうぞ」

『あ、ありがとうございます…』


初めて目が合って、今更ながらに恥ずかしくなる。

み、みっともないところを見られてたんだよね…って、この人にだけじゃないけど…。


『あの…助けてくださって、ありがとうございました。ご迷惑おかけしました』

「いえいえ、どういたしまして」



男の子は少しおどけたように笑って言った。


なんだか人懐こそうな人…。


「それより、怪我とかない?本当に大丈夫?」


その人は私の全身をざっと見ると、膝の辺りで目をとめた。


「あ!」


膝まづいて私のワンピースの裾をほんの少したくしあげる。


『え?あ、あの!』

「ひざ、擦りむいてるよ。血が出てる」


え?

…あ、ホントだ。


でもこれくらいなら平気。


『もう家に帰るところだったので、大丈夫です。
あの、本当にありがとうございました。
それじゃ私はこれで失礼します』

「あ、ちょっと待って」


その場を立ち去ろうとした私は、その人にガシッと腕をつかまれた。




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