氷帝での出会い編
□8.べ、べつに好きとかじゃねーよ。
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*宍戸side
やっと昼飯の時間だ。
今日は腹がへってたから、一段と美味く感じる。
名無しがここにいないのは少し残念だけどな。
「岳人、食事中やで。
きちんと座って食べや」
「このからあげ、めちゃくちゃうまいぞ、侑士」
「…あかん、全然聞いてへん」
いつものメンバーの、見慣れた光景。
跡部は時々こういう場を設ける。
跡部なりの部長としての気配りかもしれねぇ。
「実は俺、最近知り合って今日ここに誘ったやつがいたんだけどよ。断られちまった」
俺は何気なく名無しの話を切り出した。
「A〜、そうなんだ。どんなやつ?」
ジローが身を乗り出して聞いてきた。
「どんなって…そうだな。普通だぜ?普通の、いいやつ」
「A〜?よくわかんないC〜」
そんなこと言われてもなぁ。
名無しは女子にしては接しやすくて、普通で、なんかいいやつで…。
「3年になって同じクラスになったのか?」
「いや、長太郎と同じクラスのやつだ」
そう答えると、岳人は口をもぐもぐさせながら、えっ、と驚いた。
「鳳と同じクラスってことは2年だろ?いつの間に仲良くなったんだよ」
「長太郎のクラスに行ったときに、たまたまな」
「何にせよ、宍戸がわざわざこの場に誘うとは珍しいじゃねーか。
鳳、そいつのこと知ってるんだろ。どういうやつなんだ」
言いながらも、ナイフとフォークを無駄なく動かして食事を進める跡部。
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