弾丸論破

□ずるい
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ずるい
ネタバレ注意

※白い彼が出てきます


石田→大和田←石丸です
石丸と石田は別個体です


むっ、擬音で表すとまさに
そんな表情で一点をジッと
見ている石丸。
しかし、視線の先の彼は
別の相手に夢中で振り向かない
こっち向けーこっち向けー
そう念じて見ても振り向くはずがない


「はぁ……」



「なぁなぁきょーだい??
俺のこと好きかぁー?」


石丸のため息とは正反対の
ご機嫌な声が聞こえてくる
石丸のため息の原因はこれだ


「う、うるせぇ勝手に考えろ」
大和田はまとわりつく白い彼を
振り払った

「なに照れてんだよー」
「てっ!照れてねぇ!」

否定をするが
大和田の顔が火照っているのに
石丸は気づいていた


ああ、兄弟は彼が好きなのか
僕がいるというのに。酷い

そんな浮気された人妻のような想いが
頭のなかに浮かぶ

実際に言えたら良いのに
そんな女々しいこと言えるわけないし
みっともない…
いや、言い出せないことこそが
みっともないのか…?

いったいどっちなんだ。
答えが載っている教科書はないのか。
石丸はグルグルと頭を回す

兄弟だったらこんなときなんて
いうだろう。
そもそも漢らしい兄弟はこんな感情抱かないのか?

「なーなー、石丸と俺どっちがすきぃ?」

白い彼は大和田の首に腕を回し
首をかしげる。


なんて質問をするんだ。
もっ勿論兄弟は僕って言うだろう
そ、そうだろ?!兄弟?!

石丸は視線で大和田に訴えた
バチっと音が鳴ったように
視線が重なる。
大和田が、ごくん、と喉を動かしたのが見えた

さぁ、兄弟!
彼に言ってやってくれ!僕が好きだと!

「石丸…だ」

嬉しさのあまり大和田を抱擁したかったが
それは叶わなかった。

…彼のせいで

大和田の側に行こうとした石丸を
足で押さえる

「ちょっやめたまえ!」

「えっ石丸?俺の名前はそんな名前じゃねぇぜ。」


白い彼は石丸の言葉を無視して
大和田に顔を近づける。


「…石田」

大和田の耳元で囁く白い彼…石田を石丸は
唖然として見ていた。

「俺の名前は石田だ。
きょーだいが好きなのは俺…だろ?」

「いし、だ」

大和田は目を細めた。
……まずいぞ
まずいまずいまずいまずいまずい
ずるいずるいずるいずるいずるい!!!
駄目だ!兄弟!それ以上は僕が…!
僕がっ!

「だめだぁぁぁぁ!!!」

石田をめがけて石丸は突進した
鈍い音をたてて石田が壁に頭をぶつける


「いてぇっっ。なにすんだよ
きよたか!!」
「兄弟なにしてんだ…??」

大和田が問い掛ける
なにしてんだ、は僕の台詞だ。

「石田くんと…ベタベタしないでくれたまえ」
「あーきよたか嫉妬してんだー」

口を膨らませながらブーブー言う
石田は石丸を押し退け
大和田の膝の上に乗った

「きょうだいの膝いただき!!」
「石田君は黙ってくれないか」

まるで校則を破った生徒を注意するかのようにキッと睨み付ける


「僕のことが、…す、好きだろう?」


「…決まってんじゃねぇか。」
大和田は優しく答えた


「えー…きょうだい、嘘つかなくても
いいんだぜぇ」

石田は優しさの欠片もないようだ

「と! に! か! く!、大和田君は僕に好意を持っている。この事実は変わらない」

「うるせぇ!!きよたか!」

「煩いのは君の方だ。現実を認めるのだな」

「…っ うるっせぇ ばーか!!!」


石田はそう叫ぶと部屋を出ていった。


「おぃ…なんか可哀想じゃねぇか?」

「君は、石田くんに同情するのかね」

石丸は大和田にまたがった


「ん…誘ってんのか?」

「僕じゃ欲求不満かね?」


質問を質問で返すとは失礼なことをしたなぁと内心思った


「時々、な。ヤらせてくんねぇときもあるし」

「なっ……それは…学校でとか…無茶なことを言うからだろう!!」


僕が欲求不満を問いかけたせいで
話が変な方向にいってしまった……


「…僕は、ふつうのが、良い…」


何をいっているんだ風紀委員長様


「おぅ…じゃあ今からやるか」

「………」

無言はオーケーって合図だ。
大和田はそう受け取りゆっくりと床に石丸を押し付けた。

事後を石田くんに見られたのは
言うまでもありません。

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