弾丸論破

□春うらら
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春休みだ。

大和田は石丸の家に遊びに来ている
宿題は石丸に急かされとっくに
終わっている。
あとは休みをダラダラと過ごすだけだ

画面に現れるゲームオーバーの文字
「あーっちくしょぉー」
どうしてもクリアできないこのゲーム。

「兄弟もやるかぁー?」
重そうな本を読んでいる石丸に問う。
あんなの内容頭に入るのか?

「いいや、」
少し不服そうに石丸は答えた
なんだ、つまんねぇーの

再びゲーム機を
手に取りチャレンジする
「くっそぉ……」

….後ろから視線を感じる
多分石丸だろう

ふ、と顔を上げ石丸に視線をうつす。
視線が合ったと思えば石丸が
目を他の場所に向けた
…なんだよ

大和田は再びゲームに集中することに
決めた


ふぁー
大和田は大きなあくびをした
どうにかクリアして次のステージに
進むことができた

石丸は…まだ本を読んでいる
俺がいるのに、読書かよ
大和田はゲーム機に意識をうつす

何分か熱中してやっていると
後ろからギュッと抱き締められる

「んだよ…」
石丸は大和田の背中に顔を押し付けるようにして抱きついている
「兄弟が、構ってくれないから」

…可愛すぎる
「兄弟は、僕といるよりゲームの方が面白いのかね?」
「兄弟だって本ずっと読んでたじゃねぇか」
「むぅ…あれは…んぐっ」
言い訳をしようとする石丸の口を強引に塞ぐ
「…い、いきなりなんて卑怯だぞ」
むっとした顔で石丸は言った
「卑怯じゃねぇ、あと、名前で呼べ」
「紋土…くん?」
「ははっ変な感じだぜ」
石丸の頭を撫でてやる

「清多夏」
そう呼ぶとビクッと石丸は反応する。
こっちこい、と言い胡座のかいた自分の膝をぽんぽんと叩く

石丸はそっと大和田の膝の上に座った
大和田は石丸のお腹に手を伸ばし
後ろからギュッと抱き締める

「いでててて…いたいぞ紋土くん」
「すまねぇ、」
石丸からパッと手をはなす。

「僕は、君の顔が見たい」
「俺もだ」
石丸は体を回転させた
大和田と石丸が向き合う体制になる
「なんか、恥ずかしいな」
「…おう」
石丸は大和田の背中に手を回した
「このまま寝てしまいそうだ」
「寝れば、いい。」
石丸の背中を眠気を誘うように
優しく撫でてやる。

しばらくすると耳元から
寝息が聞こえてきた。
寝てしまったのだろう。

そよそよと風が吹きカーテンが揺れる。
今日は平和だ
明日もきっと平和だ
来年もきっと…隣に居てくれることを
信じて。

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